友情の方程式1-1
何故こんなに近くにいるのに遠い?
何故君は俺を見ない?
何故君は…あいつばかりを見ている?
もう…終わりにしないか?
『仲良しごっこ』は…
朝の8時過ぎ。
駅から歩いて学校に向かう。
桜の時季は終わり、蝉が鳴きそうなそんな時季だ。
駅前は、そこそこ人がいるのに、10分も歩いたら周りが田んぼの田舎に早変わり。
そんなところにバカに広い敷地を持つ学校。
そこは、全校生徒は8割が男子が占めている全国でも有名な工業を専門に勉強する学校。それも5年間。
クラス替えはない。
そんな男臭いとこに通う俺高3、中山馨。
『かおる』という男でも女でもいそうな名前のおかげか、男子でも女子でも隔たりなく仲良く出来る。
…上辺だけど。
今日も先生の自慢を聞く一日が始まる。そう思うと、憂鬱だが…最近、興味深い奴と話すようになった。
その奴とは…
『おはよう。そんな眠そうな顔してたら、また先生に怒られるよ?』
嫌みたっぷりに挨拶をしてきたこいつは、加藤菜緒。同じクラスだ。
かわいらしい名前のわりには、性格が男っぽい。
だから、うちの学校にも通えるのかもしれないが…
因みにうちのクラスには女子が一人…つまり、加藤しかいない。
『いや〜そんなことないって。ほら〜俺、いい子だから?寝たりしないし』
いつも通りお調子者っぽく返す。
『はぁ?あんたのどこがいい子よ。どっからどう見てもそうは見えないけど?』
と、冷たくあしらわれる。
こんな可愛くない女、絶対彼女にしたくねぇ。
『うわっひどっ!彼女にもそんなこと言われたことないのに!』
『あっそ。じゃ、彼女はあんたの本性気付いてないんだね。かわいそうに。』
哀れに思っているフリをする。