友情の方程式1-2
『本性って何?いつでも俺は素直で嘘なんてついたことないよ?』
『それ自体が嘘じゃん。』
呆れた様な顔で言う。
『ひど〜んなことないのになぁ〜』
おどけてみせる。
『はいはい、分かったから。』
と、言って加藤は学校へと向かう。
いつもこんな調子で冗談を言い合い、一日を過ごす。
こんな風に話すようになったのはここ2、3ヵ月。
今まではクラスの男子ともここまで話をしなかった。
だが、加藤は違う。
俺の考えていることが分かる。
その代わり、俺も加藤が考えていることがたいてい分かる。
もしかすると、これが男女の友情なのかもしれない。
男子は子供っぽいとこがある。その子供っぽいとこに上手くついていけなくて、小学生、中学生の時は女友達とよく話していた。おかげで、男子にはよく目をつけられた。
…まぁそんなことでへこたれる俺ではないが。
そうこうしてるうちに教室に着く。
俺の席は窓際の一番後ろ。
全体が見渡せて、暇な時にクラスの奴を見るのにもってこいの場所だ。
因みに加藤は俺の二つ前の席。
当の加藤はというと…
『おはよう』
俺に対する冷たい態度とは打って変わり、めちゃ愛想のいい女の子になっていた。
そう。
加藤が男っぽい性格であることに気付いているのは、クラスでは俺だけ。
本人いわく、隠してるつもりはないが、周りに合わせる為に自分を抑えて、大人しくしているらしい。
よくやるなぁ〜まぁ、女子一人だからしかたないか。
授業が始まるまで、ケータイをいじる。
”新着メール一通”
誰だろ…?
そう思いながら、ボタンを押す。
フォルダは”晶”が太字になって表示されている。
つい嬉しくなって、顔が緩む。
”今日は、暇ですか?よかったら、ご飯を食べにきませんか?”
晶…そう、彼女からのメール。
彼女の家は、今単身赴任である父とそれに付いて行った母が遠いとこにいる為、家には彼女の兄と彼女と二人で住んでいる。
勿論、俺だ。彼女の兄にはよくしてもらっている。ごますりは上手い方だ。