午前零時の情事-5
「……はっ…あぁぁっ……」
熱を導くように、僕は身体に力を入れる。
光が、見えた気がした。
それと同時に渦巻いていた熱い大きな塊が、出口に向かって一気に押し寄せるのを感じた。
「っんあぁぁぁ……!」
鋭い快感が全身を駆け巡る。
それだけが別の生き物のように、右手の中の性器がビクビクと痙攣しながら、熱い白濁を吹き上げた。
それは、身体からマグマが吹き出すような、そんな感覚だった。
「はっ…ぁ…」
頭は未だ真っ白なままだったが、僕はようやく口を閉じることを思い出し、瞳を彷徨わせ焦点を見つけた。
いつの間にかビッショリと掻いていた汗のおかげで、身体の熱が急激に引いて行く。
甘い痺れを残しながら、下肢が徐々に実体を取り戻して行くのを感じた。
右手から、何かの感触が消える。
ズルッと、指の引き抜かれる音がしたような気がした。
僕はぐったりと、身体を投げ出す。快感の余韻の涙が一粒、こめかみを伝って流れた。
汗で額に貼り付いた前髪を、何かがすくい上げる。
僕は反射的に瞳を閉じた。
空気に晒された額から、少しずつ汗が引いて行く。
それと同時に、身体にまとわりつく重い空気が、徐々に去って行くのを感じた。
乱れた息を整えながら、僕はゆっくりと瞳を開ける。
そして、時計に眼を向けた。
時計は、十二時三十分を指していた。
僕はゆっくりと息を吸い込んだ。
時計から眼を逸らし、天井を見つめる。
アレはまた、成長した。
始めは一分だったのが、今は三十分なり、指先だけの感触だったものが、今はしっかりとした二本の手になった。
行為も、少しずつ少しずつエスカレートしている。
アレは、どこまで成長するのだろう。
明日の夜を思い、僕は震えた。
それが、恐怖から来るものなのか、期待から来るものなのか、僕にはまだ解らない……。