きっと、そう−二人の行方-3
「あ、ごめん。考え事しちゃってた。」
少し挙動不信になった後、指定された席へ急いで座る。
一直線上に並んだ机の列が三列。
つまり、一列目が一年、二列目が二年、三列目が三年。
黒板を見ながら席に着く。
すぐに気付いたこと・・・・・隣には、さっき釘づけになっていた『彼』。
久世は、別のクラスの友達のところに行ってしまい、始まるまで一人でボーッとしていようと思った・・・・・のだが、
「町田・・・さんって言うの?」
突然掛けられた声。
思ったよりも低い、落ち着いた優しさのある声。
久世ではない隣に座っていた「塚田悠哉」。
「あ、はい・・・町田癒芽っていいます。」
急な事で、しどろもどろになってしまう。
「あっはは!俺、塚田悠哉。よろしくね。」
にこやかに言いながら、手を差し伸べてきた。
緊張で、手への反応が遅れてしまったが、恐る恐る悠哉の手を握る。
やっぱり、女の手と違ってゴツゴツした力強そうな手。
どこか、安心感を覚えた。
「自分から立候補したんじゃないっしょ?」
握った手を離し、悠哉は言った。
「何でわかったの?」
キョトンとしている癒芽を見て
「そんな感じに見えなかったから。」
ニィっと笑いながら、癒芽の頭をクシャクシャと撫でる。
「塚田君は?」
グシャグシャになってしまった髪の乱れを直しながら言うと
「ん?立候補だよ。行事は好きだからね。」
あ、なんか好きそうな感じ。
そう思い、クスクスと笑う癒芽。
「何笑ってんだよ。」
一見言葉は恐い感じがするかもしれないが、当人は「照れている」。
顔をほんのりと染めて。
「いいじゃん。行事楽しいだろ?」
「うん!」
本当は「あなたとなら楽しい」なんだけどね。
そんなこと口が裂けても言えるわけがない。