きっと、そう−二人の行方-2
結局癒芽は4種目出ることに・・・・・他の人は個人と団体の2種目程度なのだが、リレーが重なってしまった。
まぁ、決まってしまったのだからしょうがない。
その上、体育祭実行委員にまでなってしまった。
体力的な仕事多いのに・・・・・。
しかも、今日から集まりがあるみたいだ。
憂欝でしょうがない。
まったく人任せなクラスだ。
嫌な事が待っていると、時間は早く過ぎ去っていくもので・・・・・
「じゃあ、癒芽ー!委員会頑張って!!」
語尾にハートでも付いているんじゃないかと言うくらいの喋り方。
憂欝なのを知ってか知らずか、否、分かっているはずだ。
待つ様子もなく、そそくさと鞄を持ち帰っていった友達・・・・・全く、どこまでひどい仲間達。
「行こうか・・・・・?」
同じく押し付けられてしまった「久世拓真」。
「うん。」
苦笑いをして、ペンケースと適当なノートを手にして癒芽達二人は集会場所へと足を早めた。
『体育祭実行委員』とだけ書かれた黒板。
開けっ放しの教室のドア。窓まで開放的で、風通りの良さに肌寒ささえ感じる。
賑わう教室。廊下に出て雑談を繰り返す人々。
しかし、癒芽にはそんなことどうでもよかった。
賑わう声も、少し肌寒い風も無音、無感の世界だった。
「町田?」
そう問い掛ける久世の声も耳に入らない。
視線の先にいる人物−・・・・・そう、『塚田悠哉』。
いい感じに着くずした制服。
友達と笑い合って話す意外と豊かな表情。
何もかもが癒芽の視線を釘づけにした。
『彼』もだったんだ。
それは「憂欝」な委員会が「待ち遠しい」委員会に変わった瞬間。
突然「何か」が視界を遮り、悠哉が見えなくなった。
はっと我に返ると目の前には久世の手。
「大丈夫ー?」
と、問い掛ける声。