farfriend−Naoki−-1
「会長の好きな人って佐々井さん?」
「えっ…」
この話題をされると僕の顔は真っ赤になる…らしい。
自分じゃよく分かんない。
だけど言葉に詰まる事は確かだ。
だって僕が佐々井さんの事を好きなのは本当だから。
僕、要尚樹が佐々井藍華と出会ったのはちょうど1年前だ。
「好きです」
僕は高校に入ってからよく告白をされるようになった。
その中には僕が好きになった人もいて、
だから、
付き合った。
嬉しかった。
ただ、単純に。
「尚樹っ、かっこよくて大好きっ」
笑顔で言う彼女の言葉を聞いて僕は幸せだと思った。
毎日を笑って過ごしていた気がする。
一緒に帰って寄り道したり、お弁当を一緒に食べたり、そういうのがなんだか僕の生き甲斐だった。
でもある日、知ってしまったんだ。
「尚樹、生徒会長やりなよっ」
いつもの帰り道彼女がふと言った。
「僕には無理だよ」
僕は言うと彼女は満面の笑みになった。
「そんな事ないよ!尚樹頭いいし、カッコイイもん。尚樹が生徒会長になったらまたみんなに自慢できるっ」
僕は笑っていたが、何かがひっかかっていた。
「また…?」
「うん!尚樹と付き合えた時はみぃんなに自慢しまくっちゃったんだから。そしたらみんな羨ましがってね、すごく気持ち良かったなっ」
彼女は携帯に貼ってある僕とのプリクラを誇らしげに見せながら言った。
僕は、笑うしかなかった。
笑いたくないのにバカみたいに笑っていた。
だって、気付いてしまったから。
彼女は僕が好きなんじゃなく、自慢できる人が好きなんだ。
他人から見ればそれは被害妄想ってやつで僕の考えすぎだと思うかもしれない。
でも違うんだ。
頭が白くなっていく感覚、手の平から力がなくなっていくような…
彼女は最初から僕の事なんか見ていなかったんだ。
結局は僕の一人相撲。
なんて、虚しいんだろう…