farfriend−Naoki−-4
そして今思う事。
彼女に…佐々井藍華にありがとうと好きを伝えたい。
あれから何回か彼女と話しをした。
だけどこの気持ちは強くなっていくばかりだ。
もちろん佐々井さんには彼氏がいるのは知ってる。
でも、伝えたいんだ。
「宮下雄太、今日も休みらしいですよ」
狭い生徒会室で資料を整理しながら副会長の川下が言った。
「またかー。そろそろ来ないとホントに卒業できないのに」
僕は持っていたシャーペンを机に軽くたたきながら言った。
「なんでも佐々井藍華にフラれたとか」
川下が意地悪そうな顔をして笑う。
「チャンスですね!会長っ」
何も言い返せない自分が悔しい。
多分僕の顔は今真っ赤もいいとこだろうな。
「ちょっと校内見回りしてくるっ」
顔を冷やさなければ…。
「会長、かわいいですっ」
後ろで声がしたけど、まぁ気にしないでおこう。
生徒会室を出たら暖かい風が僕の頬をすり抜けた。
もう春も終わろうとしている。
あと1年も経たず卒業だ。
そして生徒会もそろそろ引き継ぎを始めないと…。
次の会長は僕的には1年の坂本がいいかな。
女だけどみんなを引っ張っていく力がある。
なんにせよ次の生徒会選挙にかかっている。
そんな事を考えていると、ふと前を歩いている女子が気になった。
具合いが悪いのか下を向いてフラフラしている。
ストレートで綺麗な黒髪、少しだるそうにワイシャツのボタンは第三まで開いているが、それすらも綺麗にきまっている。
目が合った。
あぁ、あれは…
「佐々井さん?」
気付くと僕は彼女の名前を呼んでいた。
彼女はゆっくりと僕を見る。
「佐々井さん、具合でも悪いの?大丈夫?」
僕は心配そうに彼女の顔を覗き込む。