farfriend−Naoki−-3
「あっ、要くん生徒会長に推薦されてるんだってね」
彼女の笑顔が眩しい。
だけど僕は複雑だった。
この頃みんな僕の顔を見ると生徒会の話しをしてくる。
だから彼女からはそんな話題を出されたくなかったんだ。
「でも正直言うと寂しいかも。要くんが遠くなっちゃう気がしてさ」
彼女は小さくそう言うと頑張ってねって言って教室へ行ってしまった。
おかげで僕が彼女の事を考えるのは脳内の9.9割になってしまった。
僕は彼女が喋りかけてくれたのに何も話せなかった自分に物凄く後悔した。
それと同時に僕が彼女に感じている気持ちは恋なんだと気付いた。
彼女が寂しいと言ってくれてとても嬉しく、とても愛しかった。
彼女が僕と同じだなんてとんだ勘違いだ。
僕は彼女が羨ましいと思った。その素直さが。
「あっ、昨日のテレビ見た?凄いおもしろくてさぁ」
これが本当の僕。
そう気付かせてくれたのは彼女。
「要くんがテレビ見るなんて意外〜。あっ、生徒会の参考とか?」
さすがにみんな驚いていた。
まぁ、今まで格好つけるように無口だったから当たり前か。
でもみんなが驚くのも計算済みだよ。
「いや、テレビはいつも見てるよ。生徒会の参考とか…家でまでそんな事考えたくないよ」
僕は笑って言った。
みんななんて言っていいかわからなかったみたいだ。
そうなんだ〜とか言いながら無理矢理笑っている。
でもいいんだ。
これが本当の僕だから。
だけど後から何人か話しにのってくれた。
「えっ、テレビって何見てんの?今度一緒に見よーぜっ」
すごく嬉しかった。
要尚樹を受け入れられた事が。
でも案外こんなものなのかもしれない。
僕が望んでいた事はとても簡単な事だった。