farfriend−Naoki−-2
それから僕は周りに乗せられて生徒会長候補となっていた。
「尚樹くんならできるよっ」
「要はいいよなぁ、なんでもできて」
そんな言葉、どうでもいい。
僕は何をしたいんだろう?
何を望んでいるんだろう?
気持ちが整えられなくて、油断したら壊れてしまいそうだ。
そんな時に僕は出会った。
僕の1番大切な人。
もっとも一方通行な恋だけど。
「付き合ってくれないか?」
その時から彼女はみんなが惹かれる存在で、告白されるなんてしょっちゅうだった。
彼女はその度に断っていた。
そんな彼女を見て、僕は同じだと思った。
表面だけの付き合い。
今告白した奴だって彼女がかわいいから。
ただそれだけだ。
それから僕は気付くと彼女を見ていたと思う。
「和泉、相談があるんだけど」
彼女はいつも友達と一緒だった。
「どうしたの?藍華ちゃん」
「藍華がこんな事言ってくる時は大抵赤点とった時だね」
友達はみんな楽しそうだ。
「当たりっ」
そして楽しそうな彼女。
「へぇ〜、佐々井さんって赤点とるんだ。そのギャップいいね」
「何よ、それ。杉本くんもこの前赤点とったの知ってんだからね」
きっとここにいる人達は佐々井藍華という人間が好きなんだ。
表面とかそういうの関係なく、ただ彼女と一緒にいたいからいる。
僕は…どうだろう?
みんな僕と話したくて話しているのだろうか?
いや、違う。だって僕なんかと話したがるやつなんかいるか?
ただの要尚樹と話したがるやつなんか…
「要くん?大丈夫?」
僕の顔をのぞきながら心配そうに言った彼女は、サラサラと綺麗な黒髪を揺らしていた。
急すぎて僕はびっくりした。
僕の頭の9.6割を占めていた彼女が僕の目の前にいて僕に話しかけているなんて。
心臓がバクバクいっている。