「雨のち虹」第1話「アンラッキー」-2
しばらく走っていくと学校内の桜の木の前で写真を撮っている家族がいた
一瞬不思議に思って
足を止めたがすぐに答えは出た、今日は
この学校の入学式だからだ・・
家族で記念撮影をしているのはなぜか微笑ましく感じる
「っと急がないと・・」当初の目的を思いだし再び走り出した時
この状況に不釣り合いな光景を目にした・・
「・・・・?」
小柄でかわいらしい
少女が写真を撮っている家族を寂しげに見つめていた
その情景と寂しげな
雰囲気、あとは
直感で彼女に家族がいない事が勝手に想像され・・
優雅な桜の花びらとのギャップか少女の姿は空の目にあまりに儚く見えていた
思わず足を止めて眺めてしまう・・目的は完全に忘れつつあった。
しばらく見ていると
彼女の状況は変わった彼女の前に三年の先輩が現れたからだ
あろうことか、ナンパまでしはじめた、あの先輩達は強引で
誘いを断られた事に
逆ギレし女子生徒を物陰につれこみ襲ったとかいう噂が流れている
そんな先輩達に対し
彼女は無視を決めこんでいた、
危険だ・・
直感がそう告げた
しばらく見守っていると案の定先輩はキレて大声で叫んだ
「テメェ!シカトしてんじゃねぇ!ちょっとこっちこいや!」
そして彼女の制服をつかんでどこかに連れて行こうとした
これは・・さすがに助けないとな・・
先輩の行動はもちろんその大声や半ばお約束なセリフにも憤りを感じた・・冷ややかな怒りの感情が脳裏に走る・
やると決めてからの動きは早かった
素早い動きで先輩達との間合いをつめ
彼女の制服をつかんでいる手を剥ぎ取る事に成功した
「先輩方・・いくらなんでもそれはやりすぎなんじゃ・・」いつもと変わらない口調で言う・・内心は結構イラついていたが・・思考はなぜかいつもより冷静だった、
「なんだテメェふざけんな!女の手間調子こきやがって!」
みているもうひとりの方が吠えた
威勢だけ無駄にいい
「あー・・なんか
すみませんね・・お楽しみ中に・・」
年上に敬語はモットーだ・・
そしてその間黙っていた腕をつかまれている先輩がふいに口をひらいた
「お前もしかして・・
合世か?」
「そうですが・・」
「おいおいまじかよ!?ついてねぇな・・おい逃げるぞ!」
もうひとりも名前を聞いて威勢をなくしていた
「 ハイエナ の合世相手じゃヤバいか・・」「そんな風に名乗ってないんですがね」
そう言って少し目で
圧力をかけただけで先輩達は一目散に逃げていった
「情けないな・・」
こちらとしては大事にならずによかったが
率直な見解はこれだった・・
後輩にすごまれただけで逃げていく姿は見ていて情けない
まぁ正確には僕五割
「親父」五割に怯えていたのだが・・