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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【あかね2・15】-5

「お兄ちゃん? ……あれ、寝ちゃったの? 」

虚ろな意識の遊輝の耳にあかねの声が聞こえた。
ピクッと反応したが、もうその時にはあかねは目を閉じていた。

「あ〜あ。……結局言えなかったな〜。」

遊輝の意識がはっきりしてくる。

あかねはパッと目を開いた。

「せっかくだから……言っちゃうね。お兄ちゃん。…あかね、これを言うために来たの。」
あかねはまた目を閉じる。
それと入れ替わりに遊輝が目を開けた。

あかねはそれに気付かず、ゆっくり話し出す。


「多分、前にお兄ちゃんがうちに泊った時からだと思うの。」
あかねは寝返りをうって遊輝の方に体を向ける。依然、目は閉じたまま。

「あれから………お兄ちゃんと目が合ったり、…笑いかけられたりするだけで…すごくドキドキするように…なったの……。」
あかねの声がだんだん小さくなってくる。

「あかねねっ─」
声が大きく変わる。

「お兄ちゃんのコト……今までとは比べものにならないくらい……すごく…すっごく好きになっちゃった。」


「……あかね」

遊輝は小さく呟いたが、あかねの耳には届かなかった。


「…だから今日も、……できたらキスしたいなって思ったけど……しょうがないよね…。」

あかねはそれっきり喋らなくなった。


遊輝はあかねの寝顔を見ながら考え込んでいた。

……あかねは昔から『お兄ちゃんと結婚する』と言っていた。昔から俺を慕ってくれていた。
でも、明らかにその感情は変化している。いや、進化と言うべきか…

……そして、俺の中にも存在するその感情はエリカとあかねのふたりに向けられている…

……できることならば、ずっとふたりと一緒にいて守ってやりたい…

……でも、それは……


「─トイレ。」
あかねが突然起き上がる。
遊輝は慌てて目を閉じた。


あかねはドアに手をかけたが、何かを思い出したかのように引き返し、遊輝の側に寄った。


「お兄ちゃん、……大好き。」

あかねは、遊輝の頬に優しくキスをして部屋を出ていった。


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