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『空』という名の鎖
【同性愛♂ 官能小説】

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『空』という名の鎖-4

4 「じゃぁ、どうしたいんだ?」
「ど、どうしたい…って……」
 思い描いている事を口に出すことを躊躇って、俯いてしまうと、痺れを切らしたように耳を噛んだ陽依都が、次の瞬間忽然と視界から消えた。
 『え?』と唖然としたのも束の間。見下ろした俺は『くっ…!』と叫んで反射的に腰を引いた。
 しかし、生暖かく絡みついた陽依都の口腔内に含まれ、しっかりと吸着した下腹部が離れれてはくれない。
 自らが吐き出した液体と、陽依都の唾液で、くちゅっと卑猥な音がする。
「やだ…よ…あっ…はぁ……ヤバイって…も…っ…」
「さぁ、どうするの?なぁ、伊織?」
 舌で付け根から頂点へと、腺を舐めあげながら、挑発すように上目遣いに見上げる陽依都。
「入れてもいいから…だから、一緒に……陽依都と一緒に……」
 本能と理性との狭間で揺れる心…そう呟くのが、精一杯で……。
 陽依都は、優しくキスをして、いろんな思いで、溢れ、目じりに溜まった俺の涙をスッと唇で吸い取り、ゆっくりと体重をかけてきた。
 白いキャンパスに息吹を吹き込むあの陽依都の指先が、奥へ、奥へと侵入してくるのを感じながら、なんだか、その指先が自分の中で何かを描かれているような錯覚に陥り、貫かれる痛みが疼きに変わっていくのに、さほど時間はかからなかった。
 そして、下の器官に熱いモノを感じ取った俺は、『はぁっ』と息を飲んで、目を硬く閉じる。
 明らかに指とは違う、焼けるような熱い塊に一瞬頭は真っ白になる。
 引き裂かれる感触に、逃げ出すことも出来ず、本能的な恐怖心で身体を固めていた。
「あっ…陽依都…やっぱ無理……ッ―…痛ッ…ねぇ…ァ…陽依都」
 こんなの、絶対無理だ…そう感じているのは、俺の理性だけだった。
 だって、その内壁は、浅く、深く擦られる度に、拒むフリをしながら、全てを許し、受け入れようと、激しくぜん動を繰り返していた。
 それを肌で感じた陽依都は、俺の懇願を無視して、ゆっくりと侵食し続けた。
 肘で状態を支え、宙を仰ぎ、ハァ、ハァ、と細く短く息を吐く俺の、上下する喉仏を包むように優しくキスをする陽依都。
 俺は、そのキスで目が覚めたように、ハッと我に返って、目を開けた。
 ぼんやりと見えた陽依都も、また、目を細め、白い息を細かく宙へと吐き出している。
 気付けば、俺は、絶対無理だと思っていた、陽依都の欲望の中心を、すっかり根元まで収めていた。
「伊織…」
 優しく囁やかれ、うっとりと身体の力が緩んだその瞬間。
 収められた陽依都の熱の固まりに一気に貫かれた。
「わぁっ…っ…!」 
 叫んで、思わず慌てて陽依都の身体にしがみ付き、陽依都の上に座る体勢になる。
 こうなると、陽依都の思うがまま。
 ただ、ひたすら下から突き上げられる。
 気付かないフリも、やり過ごすことも出来ない快感の疼きがそこから一気に脳天を貫く。
「んっ…あぁッ…!」
 蠢動する側壁が陽依都を更に奥へ、奥へと誘導する。
 それはまるで、『もっと』と催促でもするかのように…
「伊織…ッ…」
 その掠れた喘ぎにも似た声音で名を囁かれ、その上、陽依都の手のひらに、二人の下腹部の間で息吹く俺の欲望を淫猥に絡み取られ、その時俺は遂に、そこに踏み止まろうとする意を捨てた。
「もっ…ダメ……陽依都!…もぅ……でる…ッ」
 頂点へと足早に駆け上がる俺の熱い吐息に、陽依都が、深く何度も貫き、答える。
 破壊的な律動と、耳元にかかる、蕩けるような熱い吐息。
 髪をかきあげ、顔を優しく手繰り寄せられ、肉感的なキスを浴びせられ……
 フワリとさらわれてゆく意識の中で、身体の中に解き放たれる陽依都を感じながら、あの、夕暮れに染まる、薄紫の空の絵を思い出していた。


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