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I's love there?
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I's love there?-9

「ツー・ツー・ツー…」

 こんなときに、翔太は誰と話しをしているのだろう。
 ディスプレイの時計は23時02分。とりあえず私はサリーちゃんにお礼のメールを送り、数分後にもう一度電話をかけた。

「ツー・ツー・ツー…」

 結果はさっきと同じ。


 その夜、翔太と電話が繋がることはなかった。私は、よっぽど翔太の家まで行こうかと考えたけれど、時間も時間だったし、それに電話中だとマンションの三階に住む翔太が窓の外にいる私に気づく可能性は低い。結局その日はあきらめて寝てしまった。


 次の日の朝。
 教室に鞄を置くと、すぐに翔太のクラスへと向かった。そろそろサッカー部の朝練も終わって教室に戻っている頃のハズ。
 
 ひょい、と顔を覗かせて見渡した教室に、翔太の姿は見えなかった。

(トイレかな?)

 そう思って引き返そうとしたすぐ後ろに猛くんが立っていて、私はひっと声をあげた。

「おぉ、ごめんごめん、矢田。ちっこくて見えんかった」
 そう言ってぽんぽん頭を叩く猛くん。

「ちっこい言うなぁ!」
 サリーちゃんといい、猛くんといい、どうして背が低いというだけでこうもからかわれるんだろう。絶対、私を女扱いしていないな、これは。

「翔太なら、さっき上に行ったぞ」
「上? 上って、上級生の教室?」
 意外な行き先に、私はすっとんきょうな声を出した。
「さぁ、知らね。屋上かもよ。たまに行くし」
「そうなんだ……。屋上に。知らなかった。ありがと!」
 そう言い残して歩き出した私を、猛くんの大きな声が呼びとめた。
「上に行かないほうがいいぞ。もうすぐ鐘なる」
 私は固まって二、三秒間見つめあう。なんとなく気まずいまま、猛くんは教室へ消えた。

(なんでわざわざ呼びとめたんだろう)

 猛くんが呼びとめた理由が、時間だけではなくて何か他に理由があるような気がした。猛くんは優しいところはあるけれど、さほど気がまわるような性格ではなかったからだ。

 
 嫌な予感がして、私は急いで階段を登った。屋上の扉の前に来たとき、人が言い争う声が聞こえた。もし上級生だったら後が面倒だ。そっと隙間から様子をうかがう。

 隙間から見えるのはひとり。翔太だった。相手の姿は見えないけれど、声のトーンで女だとわかる。

 ヒュゥヒュゥと音をたてて隙間から秋の凛とした冷たい風が入ってきた。思わず身を縮ませて、耳を凝らす。

「自分で撒いた種でしょう? 私のせいにしないでよね」

 翔太の言葉に応えた女の声。それは、たしかに涼子の声だった。


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