I's love there?-8
私は、もういちど電話帳をスクロールして、沙希ちゃんのところでピタと止まった。しばらく連絡していないけれど、沙希ちゃんなら中学時代の私を知っているし、話しやすいかもしれない。
私は、沙希ちゃんにメールを送った。
夕ご飯のカレーを食べ、お風呂に入ってから部屋に戻るとメールが届いていた。
「沙希ちゃんだ!」
少し心が弾みながら急いで携帯電話を開く。でもメールの相手は沙希ちゃんではなくて、意外にもサリーちゃんだった。
名前を見た瞬間ドキッとした。内容を見ると、どうやら私は沙希ちゃんへのメールを誤ってサリーちゃんへ送ってしまったようだった。
「いや――!!」
恥ずかしくてサリーちゃんのメールをまともに見られない。
私と翔太が付き合っていることは知っているはずだけれど、でもそれとこれとは別問題。こんなことで悩んでいる自分を見られてしまったのが恥ずかしい。
それに、こんな間違いをするなんて、やっぱりバカだ、て思っているんだろうな、と思ったら情けなくなってきた。
すぐにごめんね、とメールをした。数分後届いたメールで、私は自分の想像が当たっていることを思い知る。メールには、
「メール送信するときに気づけよ、バーカ!」
とある。ムカムカして、
「間違いくらい誰にだってあるじゃん!」
と言い返した。昨日、サリーちゃんが別人みたいに感じたけれど間違っていた。前とちっとも変わってないじゃん。ムカムカする!
更に数分後、サリーちゃんから届いたメールで、そのむかつきはどこかへ飛んでしまった。
「だったら、その女の子たちのこともそうなんじゃない? 矢田の想像が間違っているんだよ。そう思っていたほうがいいよ。憶測で浮気かも、て疑うのか。逆にどんな情況でも彼氏の言葉を信じるのか。事実はひとつかもしれないけれど、どっちが得なのかくらい、矢田なら判断できるだろ?」
―どんな情況でも翔太を信じる―
そのひとことで、翔太との思い出がぶわっと溢れ出した。
翔太はいつだって、私を暖かく包んでくれた。 他の女の子と話す翔太に嫉妬したときも、
『麻衣のその気持ちがうれしい』
と笑顔で言ってくれた。
家で悩んで『もうこの家を出たい』と言ったら、高校卒業したら一緒に住もう、て励ましてくれた。
そんな翔太が側にいてくれたからこそ、家でつらくてもがんばろう、と思えるようになったし、未来に夢を抱けるようになれた。
いつも大きく包んでくれた手。その手に、今日、私とお揃いの指輪をはめてくれた。
それは私への愛情があればこそ。
―そこに愛はあるのかい?―
翔太の愛情はたしかにあった。昔も今も。見えなくなっていたのは、自分自身の心が曇っていたから。
私は、何が不満だったのだろう。こんなにも愛してくれているのに、愛がなくなったと嘆き、女の子が見ていただけで、翔太を疑うなんて。
どうかしていた。
じっとしていられず、私はすぐに翔太へ電話をかけた。