I's love there?-12
バタンと個室のドアを閉めると、声をあげて子供のように泣いた。誰かがヒソヒソ話す声や、心配そうに声をかけながらドアを叩く音がしたけれど、私は返事をせず、ただただ泣いた。もう何もかもが嫌だった。翔太も涼子も嫌い。でも、一番自分が大嫌い。
(なんであんなことしちゃったんだろう)
後悔してももう遅い。自分が情けなくて
恥ずかしかった。
やがて昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。そのまま午後の授業をさぼった私は、泣きやんでも出ていく気になれず、しばらくの間トイレの中で放心していた。
どのくらいたったのだろう。誰かが入ってくる音がして、私は思わず息を殺した。
「麻衣? 麻衣でしょう?」
ドンドンとドアを叩きながら私を呼ぶその声の主は涼子だった。
「鞄持ってきたよ。今のうち帰ろう。みんな授業受けている間に」
助かったと思った。こんな泣き腫らした顔を、学校の人たちに見られたくなかった。もしかしたら涼子は何かたくらんでいるのかもしれない。それでもいいと思った。
私たちは学校を出て駅に来た。その道中、涼子は何も聞かなかったし、何も言わなかった。翔太が少し気になったけれど、今は顔をあわせたくない。
いつもはこの駅で私と涼子は別れる。帰る方向が別方面だからだ。でも今日は違った。涼子は私と一緒のホームに降りた。振り返ると、涼子は用事があるの、と言った。
がたんがたんと音をたてながら貨物列車が走る。その風を受けながら、私はホームの端まで歩いて行った。最後尾の列車が遠ざかっていくと、あたりは急に静かになった。ホームの向こう端にひとりいるだけで、他に人はいない。
「聞きたいことがあるの」
先に切り出したのは私。予想していたのか、涼子の表情は眉毛ひとつ変わらなかった。でも次に言った私のひとことは想像していなかったようだ。
「涼子、翔太が好きでしょう?」
私がそう言うと、涼子は目を見開き、口をぱくぱくと動かした。何かを言いたいけれど声にならない、といった風だ。
(やっぱり)
その反応に確信した。涼子は翔太を狙っていたんだ。私と友達のふりをしながら、様子をうかがっていた。
だけどそのときだけだった。涼子が隙を作ったのは。より確信をつくと思って言った私の言葉は、かえって涼子を落ち着かせる結果になった。
私は今朝屋上で見たことをしゃべり、いつから関係があるのかと聞くと、涼子はおかしそうに笑ってこう否定した。
「私、年上じゃないと好きになれないの。包容力があって経済力があって。精神的に大人の人ね」
僅かな変化も見逃さないつもりで、私はじっと涼子を見つめる。そんな私に根負けしたのか、やがて重い口を開いた。
「私じゃないの。友達。中学時代のね。今は高校が違うから、麻衣にとっては知らない人」
そう前置きをして話しはじめた。話の途中、到着した電車に私たちは乗り込んだ。涼子はずっと喋りつづけ、話が終わったときには、街の中心にある大きな駅に到着していた。
話の内容は次のようなものだった。