オマケ付き参考書〜恋愛上手は国語を制す?〜1-2
「ホッホッホ。
こりゃえぇ本を見つけなさったなぁ。」
意味ありげな笑顔でお釣を渡してくれた。
帰りぎわに初老の男性は言う。
「がんばるのじゃぞ!若造!」
元気なじいさんだなぁと思いながらもぺこりと頭を下げて店を出た。
吹き付ける秋風で一瞬体が震えたが、落ち葉の彩る道を歩いて森本は家路に着いた。
家に着くとさっそく部屋へと戻り、椅子に座ってビニール袋からさっき買った本を取り出した。
ケースのおかげで中身が見れなかったので気になって仕方なかった。
慎重にケースを開けると、一枚のDVDと薄い冊子が出てきた。
冊子には
「まずはDVDでおベンキョウしてネ〜。」
と一ページ目に書かれていた。
DVDを手に取りハードにセットした。
ドキドキしながら液晶にくぎ付けになった。
明るい音楽とともに
タイトルが現れた。
そして…
一人の胸元を露にした艶めかしい女性が映し出された。
「はぁいミナサンっこんばんは〜!
今日もテレビの前で元気してるかなっ?
司会進行のキャサリン・本田・ジョリーでぇす。よろしくネ〜!」
おいおい…ハイテンションだなぁと思いながら息を飲んだ。
まるで場違いなキャサリンの登場に、森本はこれが本当に国語のテキストの付属品なのかと疑った。
当のキャサリンは露出の多い服装で画面を彩っていた。
「今日はこの冊子の説明をするわね!これは……」
とその時、キャサリンは何かを考えるように言葉を詰まらせた。
そして…
「ここじゃ狭いからそっち行くわネ〜!」
と言い残してブラウン管へ近づいてきた。
なっ何かを言っているんだ?
そっちって何処?
もう頭の中はクエスチョンマークでいっぱいである。
ブラウン管越しにこちらを凝視するキャサリン。
「あらあら。汚い部屋ネ。〜」
といいながらブラウン管から頭を出した。
出したという言い方が的確かはわからないが
現実の森本の目の前にチョコンと頭を出してきたのだった。
ひぇ〜!
腰を抜かして動けない森本を尻目にキャサリンは胸元まで体をだして
「よい〜しぉオ」
と言いながら体を反らして床に足を置いた。