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fantasy ability
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fantasy ability・4‐崩れだす日常‐-6

昼休み、仁がやはり珍しく、
「今日は、久しぶりに屋上に行かないか?」
と、言って来た。断る理由が無いし、誘いにのった。


因みに、この学校は4階建てである。屋上へ行くと、先客がいた。‥‥光先輩が一人、ポツンと居た。

「待って居たわ。皇希君、そして、謎の“罪神”さん。」
「‥‥‥皇、やっぱり教室に行こうぜ。」
「お、おい!仁、今日のお前、なんかおかしくないか?」
「そんな事はない!!」
「‥‥じゃあ、理由は何だ?」
「‥‥それは、彼‥いや、彼女は「止めろ!!」
「‥彼“女”?光先輩、仁は男ですよ?」
「‥‥いいえ。彼女は、‥‥女神じゃないかしら?ねぇ?」
「‥‥仁?」
「‥‥‥‥‥」
「あ、逃げれないわよ。結界を張ったから。」

‥‥いつの間にか、張られた‥‥‥

「‥‥何が目的?」
「えっ?」

おかしい、さっきまでは図太い声だった仁が、いきなり綺麗なソプラノの声になっている。

「‥‥そうね。強いて言えば、彼の人生に関わる筈よ。」
「えっ?俺のですか。」
「‥‥‥解ったわ。私は、正体しか言わない。それで良いかしら?」
「充分よ。」

少しずつ、仁の、いや、彼女の容姿が変わっていく。‥‥‥

「‥‥皇、希。これが、私の“正体”よ。」
「‥‥し、信じられるかよ!光先輩がどうせ、何かしているに決まっている!!」

‥何故か。俺が慌てた‥。‥‥‥そこには、仁の姿は無く、代わりに、光先輩に負けじと劣らない、大和撫子がいた。

「皇、希。信じられないかもしれないけど、これが、‥‥“真実”よ。」
「嘘だ、嘘だ、嘘だ、うそだ、ウソだ!!仁は、仁で、俺の友達だ!」

‥‥俺の顔から、一筋の涙がこぼれて、下を向いてしまった。

「‥‥嬉しいわ。こんな落ちこぼれの“神”の私を、そんなに受け入れた事を。とりあえず、自己紹介でもするわ。私の本名は、天神 織音(あまがみ しきね)よ。」
「くそ、本当なのかよ!」
「‥‥ええ、偶然なのか、運命なのか、皇、希君、君と会った。‥‥ただ、それだけよ。」
「‥‥いきなりですけど、私から、一つだけ質問していいかしら?」
「‥‥‥答えられる範囲内なら、大丈夫よ。」
「‥では、させて頂くわ。‥‥今さっき、偶然か運命か、って言ったわね。どういう“意味”?」

光先輩は、仁‥‥いや、織音さんを睨(にら)んだ。

「‥‥皇、希君。さんは、要らないわ。織音でいいわ。」
「‥‥やっぱ、心も読めるか。‥‥じゃあ、俺も、今まで道理、皇でいいぜ。‥‥織音。」
「‥ありがとう。‥‥質問に答えるわ。‥私は、皇の“正体”について、知っているわ。‥‥貴女達の父親である、“凰輝”さんの事も。‥‥でも、“これ”は教えられない。」
「ッ!!何故よ!?」
「‥‥“真実”と“私”と“凰輝”は、所詮、“過去(きのう)”。‥‥あなた達は、“現在(いま)”。そして、‥‥“未来(あした)”を決める手段は、‥‥皇が自分自身の“過去”を知って、その上でどうするか‥‥っていうのが、“私”の意見よ。」
「貴女の意見は、聞いていないわよ!それよりも、なんで凰輝父さんを知っている?‥‥知っているなら、何でもいいから教えてよ!!」
「‥‥それは、皇が決める事よ。貴女が知ってどうするつもり?」
「‥‥何よ!私達の家族の事を知らないくせに!」
「‥‥‥梛さんにでも、聞いてみれば?‥‥私に関する意外な“事実”が返ってくるわよ。」
「な、何で?母さんを知っているの?」
「‥“奴等”が動き始まったからね。対処が大変なのよ。‥‥そろそろ、“鐘の音”が鳴る筈よ。‥‥皇がこの事に対する答える時期と共に。」
「えっ!?‥‥織音?何で、知っているんだ?」
「だから、俺の事は梛さんに聞けって。‥‥昼休みが終わってしまったよ。」

いつの間にか、“仁”の姿に戻っていた。


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