ふたり【エリカ2・14】-6
──次の瞬間──
ユキの手があたしの肩に触れたかと思うと、グイっと抱き寄せられた。
抑えていた気持ちが声になって溢れた。
あたしは子供みたいに声を出して泣いた。
涙も声も、出し尽くすとスッキリした。
「ありがと……ユキ……もぉ大丈夫」
「……ったく、…エリカは本当に突然泣き出すからなぁ。」
ユキはあたしの涙のワケを聞かなかった。
「ユキ、今日はあたしが泣いても固まらなかったね。」
「うん。……へへっ、もう子供じゃないからな。」
ユキは静かに力強く言った。
……子供じゃない、か…
あたし達3人共、大人になったらどうなるんだろう……
ううん! もうやめよう!
こういうこと考えてたらあたしがあたしでなくなっちゃう!
あたしはひとりで頷いてユキの手をとる。
「帰ろっ!」
とびっきりの笑顔でユキに言った。
ユキも「うん」って返事とえくぼで返してくれた。
あたし達は広場の残り半分を歩き出した。
「ごめんね、ユキ……あたし、変だったでしょ?」
「なに言ってんの。 エリカはいつも変だろ?」
「あ〜〜! ちょっと、なによそれ〜〜! 」
ふたりの楽しそうな声がしばらく響き続けた。
【エリカ2・14】
終わり