ふたり【エリカ2・14】-4
「ウソつけ! 休み時間はボーっとしてるくせに(笑) それに、あや姉がそんなこと言うわけねぇだろが。」
「ありゃ、バレた?」
ふたり共笑って視線を前に戻した。
……危なかった。もうちょっとで言っちゃうとこだった。
………あっ、そういえばまだチョコ渡してない。
……どうしよ…
『ふれあい公園』
ここを横切ると近道。
家に着くまであと10分。
「綺麗だ……」
「ぅん? なにが?」
「ほら、広場。」
「……うわぁ…」
いつも横切る広場には、大きくて真っ白な雪の絨毯。
未だ誰も踏み入れていないそれは、美しく幻想的に見えた。
しばらく誰も入っていなかったのだろう。 靴が半分埋もれる程の雪が積もっている。
=サクッサクッサクッ=
表面はふわっとした雪だが、下に行くにつれて固くなる。
歩を進めるたびに心地好い足音が 見渡す限り真っ白な広場と空に響いた。
……端からみたら恋人同士に見えるんだろうなぁ
エリカはこのふたりだけの世界が楽しくて、自然と笑みをこぼしていた。
「エリカ、見てみ。」
広場の半分位まで進んだ。 ユキは上体を少しひねって後ろを見ていた。
「……ん……なにかあるの?」
さっきまで見ていた光景となんら変わりない。
「下、下。」
ユキが指を差して言う。
「した……?」
そこには
同じ歩幅で 同じ間隔で 同じ大きさで
ふたりだけで刻んだ足跡が延々と続いていた。
あたしはそれに目を奪われた。