ふたり【エリカ2・14】-2
「――東原くん、コレ」
──ほら来た
もう4つ目。
……あいつ人気あるからなぁ
……よし決めた!!帰りに渡そっ!
「──ちょっとエリカ。話し聞いてる?」
「んぁい?」
「………やっぱりエリカ最近おかしいよ。どうしちゃったの?」
「そうだよ。急に黙っちゃったり、表情コロコロ変わったり。」
「なんでもないない!! それより、何の話しだっけ?」
「「新庄の今後。」」
公公公公公公公公公公公
「それでは、これで帰りのHRを終わります。みなさん、さようなら」
『さようなら〜』
「チャイムが鳴るまでは出ないように」
ついさっき、雪が降り始めた。
そう強くはないけど、きっと外は寒いだろう。
「エリカ……エリカ。」
鞄に荷物を詰め込んでいると、頭上から声が聞こえた。
見上げると、その声の主はユキ。何故か小声。
「まだチャイム鳴ってないけど出よう、学校。」
「ほえ?どしたの?」
ユキは焦ったような目であたしを見る。
………なるほど。もう女の子のチョコレート攻撃にはウンザリ、と。
「フフッ、わかったよ♪いこっ」
「さすがエリカ」
あたし達は教室の後ろ側の扉からコッソリ出て、機嫌の悪いお母さんに見付からないように二階に行く時みたいに、音も立てずに走った。
外履きに履き替える所でチャイムが鳴った。
「行くよ! ユキ!」
エリカは雪が積もる学校前の道路を元気に駆けてゆく。
「速っ」遊輝は呟き、靴紐を結びながら後ろを見る。誰もいないことを確認すると、エリカを追った。
校門を出る辺りでふたりは並んだ。
更にそこから100m位走り続けた。
「も、もういいだろ…」
「そう、だねっ」
ふたりは電柱を挟んで背中を合わせる。
──ハァ、ハァ ……フフッ
――ハハハハハッ! ハハハハハ………
閑静な住宅街にふたりの笑い声がこだました。