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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第一章』-1

「りゅ……留年………。」
ここは、私立春日高校。平凡な学生が集まる、いたって普通の高校。
「あぁ、お前学校ほとんどきてないだろ?このまま休むと留年ほぼ決定だぞ?」
教師が職員室で生徒に説教じみた口調で話している。
「は…はぁ。」
教師に覇気の無い言葉を投げる。
「もう学校休むなよ?お前の姉ちゃんは毎日きてるんだ。」
その教師の何気ない言葉に、その男子生徒はさっきよりも強い言葉で返す。
「姉は関係ありません。失礼します。」
男子生徒は一礼して、職員室を出る。
「………はぁ?」
教師は、男子生徒の変貌に、呆気にとられていた。




彼は四世秋冬(しせいあきと)。春日高校の一年生だ。
現在留年寸前である。

―――学校やめよっかなぁ。

彼は教室に向かって廊下を歩いている。
前日に学校から電話で呼ばれ、始業三十分前から学校にきていた。
「おいあいつ………四世秋冬だぜ……?学校きたのかよ。」
どこの学校でも、不登校児は有名人である。
秋冬は教室に入り、座席表で自分の席を確認して、そこに座り眠った。
「……きと……!!」
秋冬は誰かの声を聞いた気がした。
「秋冬ぉぉ!!!」
『ゴスッ!』
「〜〜〜っ!!!???」
秋冬は首に激痛を感じた。それは首にチョップを受けたからだとわかった。
「秋冬ぉ………やっと学校にくる気になったのね………?お姉ちゃんは涙が止まらないわっ!」
そこにいたのは秋冬の実の姉、四世春夏(しせいはるか)だった。高校一年生である。
そう、この二人、双子なのだ。ちなみに二卵性双生児。
「な………なにすんだよ。」
秋冬は首をさすりながら起き上がる。寝起きだからか、春夏の顔がよくわからない。
「いや……まさか秋冬が学校にくるとは思わなかったのよ。」
春夏はそう言って、秋冬に何故かでこピンを見舞った。
「つ………っ!この馬鹿力女。」
「馬鹿とはなによ馬鹿とは!!!」
春夏は机を蹴り飛ばして秋冬を転がした後、教室を出て行った。
「………安眠妨害糞女。」
秋冬は時計を見た。始業まで後数分。秋冬は溜め息を吐いた。





昼休み

「よう、四世弟。久しぶりの学校はどうだ?」
秋冬に話しかけたのは、同じクラスの男、作山澄(さくやまとおる)だ。
「鬱陶しいだけだな。オレ…もう学校休めないらしい。」
秋冬のぼやきを聞いて、澄は笑う。
「ひゃっはっはっ!そりゃあ大変だなぁ!そんなお前にいいニュースだ。来週から一学期末テストだ。」
秋冬は弁当を広げる。
「はぁ……それは大変だ。」
澄も持っていた弁当を広げ、食べ始める。
「悠長な事…言ってらんねぇぜ…?四世弟。」
「その『しせーおとーと』って呼び方やめろ。虫酸が走る。」
「まぁ話を聞け、四世弟。」
澄は秋冬に箸を向けた。秋冬は嫌な顔をした。
「お前の成績はしらねぇが…出席してないんだ。恐らく留年寸前の成績を走っているだろうな…。」
秋冬はハッとした。
「なるほど。テストでいい成績を取らないと、それこそ留年してしまう………か。」
澄はうなずいた。
「だから私と勉強するのよ!!!」
急に現れたのは、春夏だった。
澄は目が点になる。秋冬は大きく溜め息を吐いた。


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