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『GAME』〜究極の快感の行き着く場所は〜
【同性愛♂ 官能小説】

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『GAME』〜究極の快感の行き着く場所は〜-2

暫くして、携帯が鳴り出す。
 「今日講義でるんだろ?校門で待ってる」と言って、ノロノロと立ち上がった駿哉が手を振って出て行く。
 ―パタン……―
静かに扉が閉まって、俺は大きな溜息をひとつ付く。
 そして、閉まってしまった扉を睨みつける。
「…」
―ピンポーン―
 ほら、来た。時間通りだ。
 扉が開いて、美由紀が入ってくる。
「さっき、アパートの前で駿くんと奈々ちゃんに会ったよ」と言いながら。
 そりゃそうだ。
 これは、彼女たちに、変に『浮気』なんかをを勘ぐられることを避ける為に、彼女が来る時間まで、正確に計算され仕組まれた、『ゲーム』を続ける為に考え出された俺達のアリバイ工作だから。
 それは、いつものように完璧だった。
そう、ここまでは…
「ねぇ、裕樹。昼から学校だから、それまで美由紀といてくれるんでしょう?」
 ベッドサイドに座っている俺の膝に跨って座った美由紀が、首に腕をスルスルと回しながら甘い声で囁く。
 とすんっと軟らかい音がして俺はベッドに押し倒される。
 馬乗りになった美由紀の顔がゆっくり降ってくる。
 目を閉じる…。
 今日、俺を押し倒し、その上に体を重ねてきたのは、美由紀で二人目。
 同じ行為なのに、重なったその軽い重力になんだか物足りなさを感じた。
 そして、そっと重なった唇の感触にふと思う。
 そう言えば…俺、駿哉とキスをしたことがない。
 なんで?……『ゲーム』だから…ルールにないだけ
 ……それだけのことだ
 なんとなく、その唇に誘われるがままに舌を絡める。無意識に、漠然と。
愛があるとは到底思えないキス
 「裕樹、携帯忘れ…た…ぁっ……」
突然、インターホンも押さずに飛びこんできた駿哉に、俺も美由紀もそして、駿哉本人も凍りつく。
 キャッと小さく叫んで、飛び退いた美由紀が、布団の中に隠れた。
 俺は、上半身だけ起こして玄関の方向を見る。
すると、らしくないほど動揺して、顔をそむける駿哉がいた。
「悪い…」
 パタン…
それだけ言って閉まった扉に俺は、何故か胸騒ぎがして止まなかった。
 
 俺は白い息を吐きながら、校門の前に、突っ立っていた。
 マフラーの隙間から入り込んでくる冷たい風に身を竦める。
 校門で待ってるって言ったのは誰だよ!
 俺は、待ち合わせをすっぽかされるようなことをしたんだろうか?
 駿哉は、俺が美由紀とキスをしていたことを怒っている?
 まさか…俺と駿哉は恋人じゃないんだ。
だって、『ゲーム』だと言いきったのは、駿哉のほうなんだから。
 俺は、悪くない……半ば、自分に言い聞かせるように、そう呟いた。
 腕の時計に目を落すと、チッと舌打ちし、足早に教室に向かって歩き出す。
 始業のベルはとっくに鳴り、誰もいなくなった真っ直ぐに開けた教室までの道のり。光沢のある大理石風の床を歩くと、カツカツと無機質な音が響き渡る。
 静寂の中、ただ、突き進んでいた俺は、教室まであと少しのところで、突然、肩に掛けていたカバンを思い切り引っ張られ、強い力で引き戻された。
 驚きの余り、声を出すことすら出来ない俺は、ガタンと大きな音を立てて、ロッカーに体を叩きつけられた。
両手首を持ち上げられ、全身をロッカーに張り付けられる。そこで初めて、ここが教職員用のロッカールームで、俺の体をこんなに粗末に扱うのが駿哉だと知る。
何も言わずに俺を睨みつけている駿哉。
「痛いな。なんだよ…俺、おまえに睨みつけられるようなことしたか?」
「…」
「まさかおまえ、美由紀に嫉妬してんのか?」
ニヤッと笑ってそう問い掛けると、俺の手首を掴んだ駿哉の手にグッと力がこもる。
「だったら、どうなんだよ!」
 『そんなわけないだろう?』なんて笑い飛ばすと確信していた俺は、駿哉の意外な答えにドキッとして、真顔に戻ってしまった。
「そうだったら…どうする?裕樹」
 反対に問い返され、見上げた駿哉の瞳にの奥に、隠しても隠し切れない揺れる気持ちが蠢いていることに気付き、胸に鷲掴みにされたような痛みがはしる。
「そうだったら、駿哉。この『ゲーム』は終わりだ」
 そうだ、ただ、究極の快感を求めて始まった『ゲーム』なんだから。
 そこに『愛情』なんて惰性が生じた限り…THE ENDGAME OVERさ。


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