おほしさま-2--3
「私ねぇ…」
「ん…?」
「後、約一週間なんでしょ?」
「…っ!?」
彼女は…知っていた。自分の死期を。
後ろでは、レースのカーテンがひるがえっている。まるで嘘だ。と言わんばかりに。
「どうしてそれを…っ」
「昨日ね、盗み聞きしちゃった。あの後、目が覚めちゃってね…病院歩いてたら…宏輔の声がして…うっ…後、一週間…って…ひっく…」
最後のほうは涙声で聞こえなかった。
抱きしめた腕をさらに絡める。
「だ、から、宏輔…、毎日、毎日…そばにいて…?」
悲しみで声がでない。
自分の死を自覚するのは、どんなに辛いことなのだろうか?
沙織を一人で逝かせるわけにはいかない。
−俺が、出来る限り、…いや、出来ないことだとしても、幸せにしてやる。
「…お願いがあるの…聞いて?」
レースのカーテンがまたひるがえり、柔らかな陽射しが差しこんだ。
end
…next act《星空》