School days-6
麻生がゆっくりベルトに手をかける。
狭い、と窮屈にしていたモノを解き放つ。
熱く、堅くそそり立つそれは限界を告げて脈打っていた。
「本当にいいのか…?」
覆い被さる麻生に、叶実は頷く。麻生は一つキスを落とすと、少しずつ腰を沈めていく。
―じゅぷっヌプ…―
満ちた愛液のお陰で滑りは良いが、麻生の大きな肉棒は初めての叶実にはキツイことこの上ない。麻生の服を握る力も自然と強まる。
「痛いか?」
途中で動きを止め、麻生が聞く。叶実は歯を食いしばったまま、首を左右に振った。嘘をついていることが一目にして分かる。
麻生はそんな彼女が愛しく思えた。
「もう少し入るぞ…」
―ずぷっちゅぷぷ―
「い…っ…た…」
あまりの痛さに叶実が小さい声をあげる。更にきつくなる内部。
(すっげぇ締め付け…こんなのすぐイっちまう…)
麻生は決心をつけた。
「叶実、ごめんな」
一気に麻生は腰を落とした。貫かれる叶実。
「痛いっ!!」
「はぁ…っごめん…」
「ん…平気…」
キスをしながら、暫く互いの体温を感じあう。しかし麻生は限界を感じていた。叶実の中は熱く、柔らかい。しかし、とてもキツイ。
「動いても、いいか…」
こくんと頷く彼女。麻生はゆっくり出し入れを始める。絡み付く愛液が音をたてる。
「うっ…は…」
叶実の苦しそうな声。
「ごめんな、痛いよな…。もう少し我慢して…」
麻生は何度となく来る波を堪え、叶実を突き上げる。
ここでイってしまっては叶実には痛い思いしかさせないことになる。せめて彼女が気持ちよくなるまで待たなくては―
「はぁン…」
甘い声が漏れた。ふと麻生が叶実の表情を見ると、痛みを堪えている顔は全く無かった。快感に身を任せている。
「叶実…ふぅっ…は…気持ちいか…?」
麻生の問いに、叶実は顔を赤らめて答える。
「ん…っ気持ちい…瞬時ぃ…あんっ、いいよぉ…」
それを聞き、麻生は欲望のままに体を動かす。激しい動き、息遣い、液体の絡む音…。
「やだ…はんっ…ぁぅっ!そんなの…っ」
「やだ…?ぅ…はぁ、ヤなの?」
麻生がスピードを落とし、突きを浅くする。叶実はもどかしそうに麻生を見つめた。
「激しいの、やなんだろ?」
意地悪く麻生が笑う。
「…やじゃない…。激しくして…」
すっと腰を引いた麻生が、思い切り叶実を突き上げる。広がる甘い痛み。
「ぁんッ!はぁっ、瞬時…いい…気持ちいのぉ…っ」
激しく腰を振る麻生。
さすが元アスリートなだけあり、動きが力強い。
「は…瞬時っ瞬時!もっと激しくして、あっ、あっ…もっと…っ!」
ヌチャグチュプチャ
繰り返される突き上げ。叶実が一気に昇りつめる。
「ゃ…なんか変…だめ、それ以上やっちゃ…っ」
麻生がスパートをかける。そして…
「やあっ!!瞬時!!」
「はあっ、ぁう…っ!!」
二人はほぼ同時に果てたのだった。
9月第四土曜日。今日は陸上の記録会である。天気は快晴。県内あちこちからやって来た、陸上を志す者が会場に溢れ返っている。
学校の陣地を取るため、テントをはっていた叶実は顔をあげた。
(今日は頑張らなくっちゃ)
ふと競技場の端に目をやると、部長の八嶋が女の人と別れ、こちらへやってくる所だった。
「彼女?」
ニヤついた顔で、傍に来た八嶋に尋ねる。赤くなる八嶋。
「まーな…」
「ほー、陸上一筋の八嶋くんがねぇ?」
「からかうなよな!」
ムキになる八嶋が可笑しくて叶実は笑った。
「お前だって好きな奴くらいいるだろ」
「ん?あたしも彼氏きてるよ」
叶実の言葉に八嶋はポカンと口を開ける。
「え、マジかよ!?どいつ!?」
「八嶋は信用してるから特別教えたげる」
叶実がフィールドの真ん中を指さす。
「あの人」
「…は…?…えーー!?」
八嶋はこちらへ向かってくる人物と叶実とを交互に見た。
「じゃ、アップ行ってきます、部長♪」
叶実は笑顔でトラックへ走って行く。そのままフィールド内へ入り、麻生の前で止まった。顧問と部員が話をする、ありふれた光景。周囲から見ても、何の違和感もない。
「先生、あたし頑張るから、先生その分今夜頑張ってよ?」
笑う叶実の言葉に麻生は驚いたが、彼も笑って返す。
「自己ベスト出したらの約束だろ」
「出すもんねっ」
叶実は風のようにスッと走って遠ざかっていく。
(ありゃ、かなり調子いいな…)
後ろ姿を見ながら麻生は思う。今宵は熱い夜になるのは間違いないだろう。
(明日は筋肉痛だな…。湿布家にあったっけ…)
溜め息をつきながらも、麻生の顔は微笑んでいた。