僕は波だ。-3
僕は波だった。
波の前は?
思い出した。
僕は光だ。
輝き何事にも恐れない、屈しない、媚びない光。
光は空を求める。
飽くなき空とその可能性。
僕はもう一度願う。
光になりたい。と
解き放たれた重い荷物を。
ゆっくりと脱ぎ捨てて。
勢いよく僕は飛び出した。
空を翔る。
まるでこの空に階段でもあるかのように。
それを潮風が誘った。
嗅覚に訴えかけるさっきまでの世界。
僕は振り返ろうとした。
その時、先生の声だ。
「過去に縛られるな。前だけ見ていろ。」
その声の方向を照らしながら僕は過去を断ち切る。
大空の中で初めて息をする。
あまりに夢中で呼吸を忘れていたんだ。
肺がギシギシと傷んだ。
生きてる証。
涙。
涙。
生きてる証。
僕は暗い空を越えて、元ある場所を目指し続ける。
在るべき姿を。
心の声を。
肌の熱っぽさをすべて抱きながら。
夜空に一筋の光が流れた。
それは流れ星のように儚く、そして力強く光続けた。