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全てを超越
【コメディ 恋愛小説】

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全てを超越『1』-3

「………あ、あ〜、で何かご用?」
気を取り直す為に、水を一気に飲んだ。
俺は背の高い女は苦手だ。
「大丈夫、手間はとらせないわ。でも、その前に今の質問に答えて」
いや、答えて、って言われても……。
「そんな訳ないだろ。あれは男として、泰明の友情に感動したんだ」
「別にイチタとの友情を感じたいが為に断ったわけじゃないと言っておく」
冷たいなぁ、泰明はよ。
「そう、安心したわ。じゃあ、本題に入るわ。私があなたに話しかけた理由は」
不安そうにも安心したようにも見えないんだけど。顔色所か表情だって少しも変わってねぇ。筋肉が固まってんじゃないか?
まぁ、そんな不躾な質問はしないけどな。本題に入ると言うのだから、ちゃっちゃと聞こう。
「理由は?」
「簡単よ。君に交際を申し込みに来ただけ」
へぇー、そう。交際をね、交際を…………………。
交際!!??
あまりにもストレートでサラッと抑揚なく言う彼女の言動に一瞬理解できなかった。
「そ、それはつまり……」
「私を君の恋人にして欲しい、と言っているの。悩みに悩んだけど、正直なところ…もう我慢できない。朝昼晩と君の事ばかり考えて何も手につかない日が何日も続いた。君には迷惑かもしれないと思ったけど、抑えきれず実行に移したの」
「…………」
「もちろん、返事を今すぐに貰おうなんて安易な考えはないわ。貰えれば嬉しいけど、私のような可愛げもない女に告白された君は戸惑っている事だろうし、夕方にまた会いましょう」
口と言うマシンガンに込められた、言葉と言う弾が俺に降り注ぐ。しかも一言一言が赤面してしまう程の威力を持っている。俺はただただ呆然とするしかなかった。
それにこいつ、今まで話した時はこんなにズバズバ話す奴じゃなかったぞ。
「もし、会いたくないと言うのなら、ここに私の携帯の電話番号とメールアドレス。自宅の電話番号と住所、郵便番号を書いておいたから、返事をしてくれないかしら」
朝霧は小さく綺麗な文字でメルアドや電番やらがかかれたメモ用紙を手渡してきた。ある意味、この学校で一番貴重な情報が載っているメモ用紙だ。
「もちろん、郵便は着払いでかまわないし、少し悲しいけど無視してくれてもかまわないわ」
言うだけ言った彼女は、それじゃあ、とこの場を去っていった。
「「「「…………」」」」
その場にいた俺を含めた4人は呆然と彼女の後ろ姿を眺め、一斉に顔を詰め合わせる。
「な、何なんだ」
「何って、愛の告白と言っていた」

「鈴ちゃんは冗談言わないしぃ」
「ま、頑張れや」
口々にみんなはそう言う。つーか、何を頑張れ、と?
「彼女と関わることをか?」
「違うな。これから繰り広げられる逃亡劇の事さ」
郭はそう言って、ニヤリとする。逃亡劇?
「どういう意味だ?」
「イチタの持っているそのメモ用紙は、朝霧 鈴と言う宝を狙う輩からはまさに『宝の地図』。どんなことをしても手に入れようとする輩はいるんじゃないか?……と、郭は暗に言っているんだ」
親切丁寧な解釈ありがとう、泰明くん。確かに俺もヤバい予感がしてきたヨ。


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