女子大生妙子の就活日記〜島で見つけたモノ〜-1
「昭夫のバカぁぁぁぁ…」
突然私は彼に別れを告げられた。
就職活動真っ只中の昼間の喫茶店で。
昭夫は重苦しい表情でうつむいたままだ。
さっきなら「ごめんな。」しか言わない壊れたおもちゃみたいだった。
私は涙を拭いて喫茶店を走り出た。
よりによってこんな時期に……
全く自分勝手な男なんてもうイヤ。
ただでさえ憂欝な毎日なのに。
私は妙子っていいます。
もうすぐ卒業論文の締切なのになかなか内定もらえない大学四年生。
他のみんなはとぉ〜っくに内定が決まり、恋人と毎日よろしくやってるみたい。
なのに私は……
沸々と怒りが沸き上がってきた。
自分の非力さを痛感する選考試験。
なかなか本気になれない職捜し。
数年前はあんなに本気で大学受験したのに、
その熱が出せない。
惰性でやり過ごす毎日。
テレビと携帯がお友達な毎日。
ダメ人間のレッテルを貼られてしまうのも時間の問題だわ。
額の汗を思わず拭ってみた。
あぁ、あの頃は期待で張り裂けそうな毎日だった。
楽しくて仕方なかった。
でも今は……
4月からまったく違う生活が始まる。
みんな離ればなれになっちゃうのも淋しいな。
でもだからこそ4月までに決めなくちゃいけない。
タイムリミットはあと僅か。
自分探しだの、記念選考だの、いらないものが多すぎる。
今のままでいい。
目的を見失って遭難した船のように漂っていたい。
甘えてんのかな。私。
まだ見ぬ4月の私はきっと汗にまみれて格好わるく走り回ってるに違いない。
考えるだけで寒気がする。
そして来週はいよいよ最終試験が待ち構えている。
何とか漕ぎつけたチャンスだから。
もしかしたら最後のチャンスかもしれない。
その前に週末に旅に出る予定でした。
目的地は
新潟県、粟島。
はじめての一人旅。
一人旅になるんかぁ。
ホントは彼氏と行く予定だったけど、別れてしまったから。
こんなタイミングで別れを切り出すなんて……
と悲しみを通り越して再び怒りが再燃してきた。
とりあえず荷造りをする。
キャンセルしてもよかったけど、
せっかくだから気分転換に行ってみることにした。