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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈封縛篇〉後編-3

「くっ…。」

二重の攻撃に初めて態勢を崩しよろけるヴィアルアイをカルサは見逃さなかった。踏み出し、剣を握りしめリュナのもとへ走る。

「ラファル、離れてろ!」

 カルサの言葉どおりラファルはすぐにその場から離れた。いては邪魔になる事がラファルには分かっている。

ヴィアルアイはふらついた体を足で踏張り、今までとは明らかに違う険しい形相で剣を一振りし兵士を切り上げた。

「うわあぁっ!」

剣圧で飛ばされた兵士の悲鳴とリュナの悲鳴が重なり合う。思わずリュナは顔を上げ、両手で耳を押さえながらも反射的にヴィアルアイを見上げた。

目が合い、剣が怪しく光ったと思った瞬間。

ドスッ!

鈍い音が時間を止めた。

大きく見開いた彼女の瞳に映っていたのは、鈍い光を保った剣先、そしてその向こうには愛しい人の背中だった。

両耳を塞いでいた手は震えながら離れてゆく。

「造作もない。」

「いやぁぁぁああっ!!」

嘲笑うかのように吐き捨てられた言葉と共に、持ち主から剣は離れてゆく。それと同時に剣で突き貫かれた体がリュナの方へと倒れる。

両手を広げ受けとめようとリュナは近寄った。しかしこのままでは彼女の心臓がカルサを突き貫けた剣先に刺されてしまう。

「ダメだ、リュナ!!」

サルスの制止の声はリュナには届かなかった。まるで剣先を受け入れるようにそれを待つ。

「リュナ!ヴィアルアイ!」

声と同時にヴィアルアイを爆風が襲い、入り口の方まで吹き飛ばされてしまった。リュナの腕の中に入る前にカルサの体が止まり、彼の横にはここにいるはずのない人物が彼を支えている。

「剣先に気を付けろ。決して触れるな。」

「カルサッ!」

リュナに注意を促し、ゆっくりと彼女の腕の中にカルサを下ろした。カルサの胸の真ん中に刺された剣、リュナはカルサの頬を触れ何度も名前を呼びかける。その姿がとても痛々しい。

「この中に入ってこれるとは、さすがはジンロ。」

「ヴィアル…。」

カルサをリュナに託したジンロはゆっくり立ち上がり、視線だけで辺りの様子を伺った。


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