バレー部顧問の響子先生-1
「もしもし、柳川さんですか。バレー部顧問の長谷です。順子さん、自分のせいで試合に負けたとずいぶん落ち込んでいるんです。このままじゃいけないので、きょう1日、私に預からせてください。しゃんとさせますので。ええ・・・・はい、はい。大丈夫です。わかりました。それでは失礼します」
携帯をバッグにしまい、響子先生が言った。
「おかあさんの了解とったわ。帰りましょ」
うながされて私は先生の車の助手席に。シートベルトを締めていると、
響子先生の顔が運転席からいきなりヌワッと近づいてきた。
あっと言う間もなく、鮮やかなルージュに縁取られた響子先生の小さな唇が私の口を覆う。
「えっ! えっ? うっ、ん、む、むぅ〜、せ、せん、うむむぅ、せんせ、何ぃ、あっ、う〜むっ・・・」
有無を言わさぬ強引なキス。
びっくりして思わず全身で押しのけようとしたけど、したんだけど・・・
響子先生のお化粧の甘い香り、柔らかい唇、温かい舌の感触に頭の中まで一瞬に痺れてしまったみたい。
意識とは裏腹に、先生の舌を受け入れていた。
「ショック療法よ、順子。試合のことは忘れるの。いい?」
私の口のまわりについたルージュをティッシュで拭き取りながら、響子先生が言った。
そしてエンジンを始動させ、隣町の先生のマンションへ向かった。
長谷響子先生。1年前に新卒採用で私たちの高校に着任した新米先生だ。
2年目の今年春から女子バレー部の顧問になった。
小柄で華奢な体、ぱっちり目の可愛い顔立ち。一方で、その外見とは大きくかけ離れた勝ち気で男勝りな性格。
アンバランスさが男の子にも女の子にも人気の的で、生徒たちのアイドル的存在になっていた。
その響子先生が女子バレー部の顧問になるという話を聞いて、私たち部員が大喜びしたのは言うまでもない。
私はと言えば、バレーをやってるせいで筋肉質、太ももはパンパン。露出した足や腕はいたるところ傷だらけ。髪はショートのカリアゲ君。なのに性格は大人しくて優しい、何かあるとすぐに落ち込む。
だからなのか、私は私と正反対の響子先生の大ファン、ずっと先生に憧れていた。
そのせいなのかも知れない。先生の突然のキスを受け入れてしまったのは・・・・
右手でハンドルを操作しながら、響子先生の左手が私の膝の上に伸びてくる。
私の手を握り、時々優しく握りしめる。そしてそれとなく手をずらし、ジャージの上から私の太ももの内側を触ろうとする。
「先生、だぁ〜めっ」。声には出さず、私は先生の左手を両手でギュッと包み込み、動かせないようにする。
国道沿いのモ○バーガーのドライブスルーに車が入る。
「順子、ごめん。今晩はハンバーガーで我慢してね。何がいい?」
「何でもいいです」
「何でもいいじゃわからないわよ」
「じゃあ、エビかつ」
「すみませ〜ん。エビかつ1つ、スパイシーモ○1つ、オニポテ2つ。単品で! 飲み物はいいです」
再び国道に出て先生のマンションへ。5分ほどで着いた。