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溺愛
【SM 官能小説】

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溺愛2〜鏡の刺青-2

『鮮やかな多色彫りの鳳凰や慈悲深い観音菩薩もいいけれど、どこか悪の華を感じてしまう…。
それに比べこの桜吹雪の刺青は単色で彫られているのにも関わらず、
妙に艶めかしい色香を感じない?』


『そうね、毒々しさが感じられず、女の強い意志とか深い愛を感じる。』

『この女性が深く愛した男性への情念の証しなのかな?』


『そんな気がしないでも無いわね…。』

二人は女の背中一面に彫られ、青磁色一色に浮かび上がる艶やかな桜吹雪をじっと見つめていた。

『奈緒が心奪われる青磁の色香にも似てない?』

『うん…。』


『今度手掛ける商業空間なんだけど、オブジェや意匠案に使えないかなって考えてたんだ…。』


『凄いね!一体どんな風に使うの?』


『問題は何に用いるかとと言う事と、どうやってこの艶やかな桜吹雪を表現するかってね…。』


『ねぇ、ワインでも飲まない?』


『いいね、冷蔵庫に飲みかけのワインがあるよ』

トロリとした喉越しと、酸味の効いたワインの渋みが、二人の気分に拍車をかけていた。


『ねぇ、化粧道具持ってる?この桜吹雪を奈緒に描いてみたいんだ!』


『本気で?でもアイライナーとシャドー、それに口紅位しか用意してないわよ?』


『それだけで充分だよ、奈緒の裸をキャンバスに構図を試したいんだ!』

『何か変な気分になっちゃう、でも一樹の頼みならいいよ!』


口角を緩め、起ちあがった奈緒子が一枚づつ着衣を脱ぎ始めると、ベッドの上に並べ置いていた。

『どうしたらいいの?』

『その鏡に全身を写すように立って貰える?』


『これでいいの?なんか恥ずかしいよ…。』


『うん、奈緒は鏡越しに見ていてくれたら良いから、じゃあ始めるね!』

『あんっ!擽ったいよ』

一樹はハリウッドミラーと奈緒子の間に置かれた椅子に腰掛け、
アイライナーを手に採り筋彫りに見立てた桜の花びらを描き始めていた。


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