ぼくの学校を出るヒト T-2
「香炉、……何処に行くんだい?」
「八つの世界が交わろうとしているのはご存じなはずです」
「……ああ」
「その影響によって《無属》にも、わたくし達のような《魔術師》のような力を持つ者が現れているようなのです」
香炉は無表情に言った。
「……そうなのかい? 香炉は賢いな……。何処でそんな事を知ったんだい?」
男の問い掛けに香炉は答えなかった。
ぬいぐるみだけが異常なほどにグェェーと、けたたましいなき声をあげた。
〜アスタリスク〜
新規介入を確認
続行
まいこは鼻歌混じりに浴槽を洗っていた。
やっと宮野と一緒の空間から脱出できた事に対する喜びがそうさせていると言っても過言であるはずはないだろう。
洗剤を洗い流し、湯を張って行く。
(はーい! まいこちゃん元気してる?)
頭に直接声が届けられる。我が学園の会長代理の声だ。
「真琴さん、どうなされたのですか? 」
(色々忙しそうだけど、生徒会室まで来てくんない? 真琴ちゃんのお願い)
「わかりましたわ、今から参ります」
まいこは手早く用意を済ませると駆け足で真琴の元へと向かった。
真琴さんがわたくしを呼び出すなんて、何かあるに違いありませんわ。
「……香炉。君は何を見ているんだい? ……さっきからぼーっとしているけど……」
「未来です。わたくしはいつでも未来を見ているのですわ」
香炉の瞳は山の山頂に建つ、第三EMP学園をしっかりと見据えていた。
〜続く〜