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ぼくの学校を出るヒト
【二次創作 その他小説】

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ぼくの学校を出るヒト T-1

「ふぁぁ、暇ですわね」
第三EMP学園の妖撃部の部室で黒衣の衣装に身を包んだ光明寺まいこは大きく伸びをした。
このところ想念体の出現数が激減しているので保安部としての活動がないため、彼女はそれなりに暇をもてあましていた。
「まいこさん、お茶が入りました……」
おどおどとした手つきで蒼ノ木類がまいこの前にあつあつの湯飲みを置いた。
「ありがとう。はぁ、一月ほど前はあんなにばたばたしていたのに。このところの安息はなんですの? わたくしは暇で暇でしかたがないですわ」
「まいこさんは事件が……、その、起こって欲しいって思ってるんですか?」
「そんな事は思っておりませんわ。できる事ならもうあのような事は二度と起こって欲しくないですわ」
少し暗い顔をして、緑茶を飲む。
「まいこ君はそう願うのかい? 私は違う、この宮野面白い事が起こるのを待ち望みにしているのだ」
まいこは突然わいた声に驚いき、湯飲みの中身を少しこぼしてしまった。
「な、な、なぜ班長がここに!」
「私がここにいる理由か? それは君にも分かるはずだまいこ君」
制服の上から白衣を着込んだ男はにたぁと笑った。
「わかりません。わかりたくもないですわ。班長の考えなどわたくしにとっては三日月藻ほどの価値でしかありませんから」
「あ、あのぉ 宮野さんはお暇だから来られたのでは?」
「さすが、類君。御明察だ。私の暇潰しであった想念体が激減しているからな、まいこ君に会うのも三日ぶりだ」
宮野とまいこは保安部でペアを組み、想念体を退治していたので少し前までは四六時中一緒に行動していたのだ。校内でもこの黒白コンビ(特に宮野)の存在は有名である。
「わたくしはもう二度会いたくはなかったですわ」
まいこは大きくため息をついた。


「先生、わたくし少しばかり暇ですわ」
デフォルメされたカンガルーのぬいぐるみを引きずるように持った少女は隣にたっている顔色の悪い男に言った。
「……そうだね。確かに君の言う通りだ。……ところで君は誰だったかな?」
「先生の弟子の香炉ですわ。この子はお友達のマイコプラズマ」
「よろしく香炉。よろしくマイコプラズマ。……多分、また忘れると思うから三日後にまた自己紹介をしてくれるかい……」
「ええ、先生が覚えてくださるまで」
香炉のぬいぐるみもクェェと奇妙な声を発した。
「わたくし行きたい所があるのですが。先生は何か御予定は?」
男は少し考えるそぶりを見せた。
「……とりあえず、事が始まるまでは何も無いような気がするな」「では、お付き合いねがえますか?」
「ああ、香炉のためならね」
二つの人型がゆらぎ、消えた。


夕食を摂るために三人は食堂へと足を向けていた。
「あ、まいこちゃん。今日は早いねぇ」
給仕をしていた少女がサラダを手渡しながら無垢な微笑みを浮かべた。
「ええ、あまりにも暇をもてあましていましたので。不本意ながら班長の食欲を満たす事に付き合うはめになったのですわ」
「おい、まいこ君何をしているんだね。早く席を取らないと立ち食いするはめになるぞ」
宮野が悠々と席を陣取りこちらに向かって手を振っている。
宮野の両隣りに座っていた生徒は、宮野が席についた途端に食べかけにもかかわらず席をたった。
「まいこ君、類君。ちょうど席が空いたようだ、早くきたまえ」
まいこはあきれた顔でため息をつき、類はおぼつかない手つきでコンソメスープを自分の盆に置いた。
「では、若菜さん」
「お風呂入れといてくれると嬉しいな」
「わかりましたわ」
寮のルームメイトである高崎若菜に別れをつげて、きつねうどんに七味を山のように入れている宮野の隣に腰を降ろした。


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