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《魔王のウツワ》
【コメディ 恋愛小説】

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《魔王のウツワ・6》-2

※※※

今日は朝から雨だった。
雨の日は憂鬱だ。
どんよりと曇った空を見ていると気分が暗くなる。
さらに雨の為に屋上には行けない。
昼休み、教室内の雰囲気もさることながら、姫野に会えないのが辛い…
こんな日は姫野ならどうしているのだろう…
それにノワールは…姫野のことだから屋内の何処かに隠しているのだろうか?

弁当を食べ終え、本日2本目となる牛乳に手をつける。

『おい…近々この街で戦争が起きるぞ…』

誰がヒソっと囁いたのが偶然耳に入った。

『何でだよ…』
『見ろ…魔王が牛乳2本も飲んでる…つまり骨の強化…あの魔王が己を強化する事態…つまり戦争が起きる…』
『マジかよ!?…一体何処のチームが消えるんだ…?』
『暴力団かも…組同士の抗争で…』
『…あの魔王が何処かの組に入ったなんてことになったら…ここら辺の勢力図が一気に塗り変わるぞ…』
『いや…この街全てが消し飛ぶ可能性も…』

とか何とかいう噂はあっという間に尾ひれが何本もくっつき、巨大化していく…
ただ…つい癖でノワールの分の牛乳も買ってしまっただけなのに…
で最後には…

『ノストラさんの大予言に出てくる大王=魔王』

なんて訳分からん図式が出来てたり…
最早、牛乳関係ないじゃないか!と心の中で突っ込みが炸裂…

※※※

結局…この日は一日憂鬱だった。帰りになっても雨は止まず、ますます憂鬱に…
こういう日は早く帰るに限る。
ザアザア…と降り注ぐ雨の中、一人。空しさ、寂しさ、そんなものが入り交じる。
もしかして、前みたいに、姫野が後ろから声を掛けてくれはしないかと思ったが、人生はそんなに甘くはなく、結局何事も無く、家に着いてしまった。

「ただいま」

ボロアパートの扉を開いた。派手なヒールの高い靴が散乱している。

「アハハ♪お、お帰りぃ〜♪アハハ♪」

母親の静華がバラエティー番組を見るついでに、返事をした。

「今日のご飯は?」
「まだ決めてない」
「あっ、そ。何でもいいから美味いの頼むわねぇ〜♪アハハ♪」

さして興味がない様に再びテレビに向かい、爆笑。だが、いつものことなので、こちらもさして気にしない。
冷蔵庫を開けた。
愕然…何にもない…


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