Dying Message-1
血が見たい。それは小さな頃からの僕の欲求。
あの鮮やかな赤は、生物以外生み出せない。
最初のターゲットは小動物、それは次第にエスカレートし、それがついには人間に移ったとき、僕の中で新たな何かが目覚めた。
もっと、大量の血がみたい、と。
僕は二度目の生を受けた感覚に酔いしれた。
―――
「今月だけでもう四件か・・・被害者はまた女性・・・死因は頸動脈を鋭利な刃物で裂かれたことによる出血死・・・今までと違うのは、ダイイングメッセージがあること・・・」
年は20代前半といったところだろうか？
いかにも好青年と言った彼は入念にこと切れたそれを独り言を呟きながら入念に調べる。
「立浪さん、これも例の連続殺人鬼の仕業でしょうか？」
立浪は少し顔をあげて、話し掛けた人物を確認すると小さくため息を吐き無視して検証を続ける。
「ちょ、無視ですか？こんな可憐な少女を無視するなんて・・・」
「・・・おい、瀧田（たきた）この馬鹿を現場からつまみ出せ。検証の邪魔だ。」
瀧田と言われたこれまた若い捜査官は苦笑いを浮かべ、少女の手をひっぱる。
「立浪さんの邪魔、しちゃだめだよ？加奈ちゃん」
「でも、私も捜査に参加したいんだもん」
「まだ中学生の君が首を突っ込む話じゃないよ！それに今回はあの天才、立浪翔ですら犯人がつかめないんだ。加奈ちゃんには荷が重い、さ、まだ犯人はかなり近くにいるんだ、家の近くまで送ったげるから帰りなさい」
「もう・・・瀧田さんには敵わないな・・・わかったよ」
現場では立浪が一人焦っていた。
「害者に着衣の乱れは全くない・・・前の三件もそうだ。おかしい・・・普通ここまで抵抗しないものか・・・考えろ。犯人はたぶんかなり知能指数が高い。さもなくば指紋や証拠を残さずこんなに華麗に犯罪を行えるわけがない・・・唯一の手掛かりは四件目の女性の残したダイイングメッセージ。携帯電話に（2222113444 4224）と打たれていた・・・」
独り言をまたぶつぶつ呟いていると携帯が鳴り響く。
「こちら立浪・・・なんだ瀧田か、どうした？」
「た、立浪さん大変だ！か、加奈ちゃんが・・・」
「あぁ？あの探偵気取りがどうした？」
「今さっき家の前まで車で送ったんですが、車に加奈ちゃん鞄忘れてて・・・届けに戻ったら・・・か、加奈ちゃんが・・・」
「どうした？」
「し、死んでます・・・」
そう瀧田が言った瞬間、立浪は電話を切り加奈の家に急ぐ。
「瀧田！加奈は？」
「い、家の中です」
扉を開けると玄関には先程まで活発に動いていた少女が俯せに倒れていた。
衣服に乱れなど、ない。「馬鹿野郎だからお前には一人暮しなんて早いっていったんだよ！頸動脈には辛うじて達してない、まだ微かに心臓が動いてる・・・瀧田！早く、早く救急車だ！」