愛欲の密室〜由起夫と奈緒子-2
飾らない会話に安らぎを覚え美酒と肴の程良い酔いに誘われると、
交わした言葉は絡み合う糸のように繋がれ、
残されたのは互いの本能をぶつけ合う事だけで、自然と和んだ二人の気持ちを暗黙の蜜事へと向かわせていた。
切り上げるように店を後にし、生暖かい春の夜風が優しく二人を出迎えると、ホテルに向かう足取りは夜空に浮かぶ霞のように軽やかで、
浮き足立った奈緒子の足取りがヘタりと由起夫にもたれ掛かかせると、
チェックインした部屋のドアノブを廻していた。
週末とは言え、
宿泊客もまばらなホテルはルームキーの音さえ淫らに共鳴させ、
室内へ入るや否や
由起夫は奈緒子の躰をきつく抱き締めた。
由起夫>
『やっと会えたね?』
奈緒子>
『うん…』
艶やかに輝く奈緒子の唇をこじ開け、
激しく舌を絡ませ合えば奈緒子の洗い髪の香りが匂い起ち、その爽やかで清々しい香りに戸惑いを感じながらも、ダブルベッドへと雪崩れ込んでいた。
赤みを帯びた耳孔に生暖かい舌先を潜らせ、
その舌先を優しく首筋へと滑り降ろす。
由起夫の指先が奈緒子のブラウスの釦を外し、
レースが縁取る
黒いブラを露呈させ、
休む事なくウエスト周囲に手を廻し、スカートの留め金をこじ開け、
おもむろに浮かせた奈緒子の腰を見計らい一気にベッドの後部へと剥ぎ取ると、艶めかしい黒いストッキングが、
否応なしに由起夫の視界に飛び込んでいた。
その艶やかな姿態に怒張した由起夫の肉茎がスラックスの股間を痛々しく膨らませ、黒一色に統一された奈緒子の下着姿は、ルームスタンドの間接照明が妖しくもセクシャルな肢体に浮かびあがらせ、放心状態のままその躰を委ねていた。
由起夫はしばし手を休め、狂おしい程に淫らな
下着姿を視姦した…。
怒涛の如く湧き上がる息を殺し見入っていると、黒いストッキングに覆われる艶めかしいその両脚は例えようもない妖気を放ち、欲情した由起夫の胸を詰まらせ、
高鳴る鼓動を鎮める為、三月とは云えまだ底冷えする夜風を取り込むと、二人の欲情と反芻する様にレースのカーテンを揺らし続けていた。
由起夫>
『奈緒子、綺麗だよ…』
夜気を浴びて一息ついた由起夫は、猥褻な脚線美を描く奈緒子に見惚れていた。
熱い視線を躰で感じ取った奈緒子は、
由起夫を招き込むようにM字脚に大きく左右に開脚し、ルームライトに浮かんだその光景に驚愕に似た興奮を覚え、
震え開かれた大腿部の付け根の中心を凝視して見ると、鬱蒼と生い茂る密林が黒いストッキング越しに見え隠れしていた。
奈緒子はパンストを直履きし、それは由起夫を淫欲の坩堝へと誘う確信犯的行為だった。