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マニア雑誌で見つけた素敵な人々
【歴史物 官能小説】

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【16】五十男とのセックスで英気を養う中学校教師28歳-2

 わたしは息を呑みました。山本さんというのは同じ学校に勤める先輩教師で、結婚を前提にお付き合いしている相手なのですが…。寝言でも口走ってしまったのでしょうか…。

 「入口の階段でぶっ倒れてるあんたに声を掛けたらよ、俺に抱き着いてきて『おじさん、わたし本当にヤマモトさんと結婚していいんですか?』って言うからさ」
 「そんなことまで…」
 「俺、『おじさん』っていう人に似てるのかい?」
 「いえ…そういう訳では…」
 「そうだよな…。俺も話が見えねえし、なんせあんたゲロまみれだったからよ。とりあえず部屋に上げたんだよ」
 「すみません、本当に…。わたし、いったいなにを言ったんでしょうか? ちっとも覚えていなくて…」
 「言っていいのかい?」

 わざわざ確認までされてわたしは少し恐くもなりましたが、自分が無意識のうちにどのようなことを口走っていたのか知らないままではいられないと思いました。

 「まあ、俺もよくは覚えちゃいねえからうまくは言えねえが…」

 オブラートに包もうとされているようです。

 「いえ…大丈夫です。教えていただければ…」
 「…あんた、その『ヤマモト』って男に『マンゾク』してねぇんだろ?」
 「ひっ…」

 わたしはあまりのことに思わず小さく悲鳴を上げてしまいました。山本さんとは先週はじめて男女の関係を持ったばかりだったなのですが…その…ありていに言えばわたしは肉体的にはまったく満たされなかったことがずっと心に引っかかっていたからです…。

 「あの…そ…それだけでしょうか…」
 「『男の人ってみんなあんな感じなんですか? おじさんはわたしのこともっと気持ちよくできますか? わたしのこと抱いてください』ってな」
 「ひぃ…」

 わたしは耳を塞ぎたくなりました。山本さんと関係を持ってからずっと悶々としていた心の中をわたしはすべてさらけ出してしまったようです。記憶をうしなうことがこれほどまでに恐ろしいこととは…。わたしはお酒を飲み過ぎた自分を恨みました。

 「自分だけ満足してるような男と結婚していいのか迷ってるんだよなぁ? 先生だっていうあんたにこんなこと言うのもなんだが、あんただって一人の女なんだからなぁ…」

 わたしは何も言えずにうつ向いています。からだも少し震えていたかもしれません。

 「でも、そういう先生、きれいだったぜ? 女っていうのはこういう生き物だったよなぁって久しぶりに思わせてくれたよ。『抱いてください』とまで言われたら俺だってよしそれならって思ったけどよ。途端に俺にゲロをぶちまけてくれたからよぉ…」
 「ああ…すみません。もう、結構です…もう、言わないでください…」
 「気にするこたぁねぇよ…見知らぬ男女がこうして下着姿で一緒にいるなんざぁ…袖すり合うも…って下着姿じゃぁ袖もないがこれも何かの縁ってヤツだ…」

 そう言うと男の人はわたしにのしかかってきました。布団の上に押し倒してわたしに囁きます。

 「俺に言わせりゃぁ女もイカセられないヤツにあんたは勿体ねぇと思うぜ?」
 「い…いけません…こういうことは…」
 「ああ、いけないなぁ。学校の先生が行きずりの男の家に転がり込んでお〇んこするなんてもってのほかだ。でも学校の先生かもしれねぇがあんた一人の女だろ? せっかくのいいからだ持て余してちゃぁいい仕事もできねぇよ? 試してみようぜ。『男の人ってみんなあんな感じなのか』さ…。悪いようにはしねえよ…」

 気が付いたら男の人は隣でたばこを吸っていました。

 「気が付いたかい?」

 記憶をうしなうほどに気持ちがよかったことだけは覚えています…。

 「わたし…またなにか言ってましたか?」
 「言っていいのかい?」

 男の人がにやっと笑いました。

 「うまくは言えねえが…あんた、まあまあ『マンゾク』してたように俺は思ったぜ」

 わたしはお部屋を後にしました。古びたアパートのようでしたが廊下に出ても人の気配はありません。ボールペンで「A」と殴り書きされた紙片が錆びついた画鋲で止めてありようやく男の人が「Aさん」という名前であることがわかりました。

 それから何十回…いえ百回以上わたしはAさんを訪ねては男女の関係を持ちました。山本さんとも何回かそういう関係を持ったことがありましたが、そのうち山本さんの方から『親が縁談を持ってきて断れない』と別れ話を切り出されました。特に求めた訳でもありませんでしたがお金の包みを渡されました。わたしはお肉を買ってAさんのお部屋ですき焼きを食べました。

 「うまい、うまいよ、先生」
 
 Aさんが喜んでくれてわたしもうれしくなりました。山本さんとの顛末を話すとAさんは(俺の言っていたとおりだろ?)というように黙って笑っていました。土曜日に学校を後にするとわたしはAさんの部屋に向かいます。そして日曜日の夕方まで一緒に過ごします。

 わたしはAさんのことは『Aさん』と呼んでいますが、Aさんはわたしの名前も知ろうとする様子もないままわたしのことを『先生』と呼んでいます。本当はAさんがわたしにとっての『先生』なのですが…。『先生』に出逢わなかったらわたしはセックスのよさを知らないまま一生を過ごしてしまったのでしょう…。

 そんなわたしですが、Aさんとセックスしていて気をうしなってしまうことはもうほとんどなくなってしまいました。そのことをAさんに話すと

 『先生もいよいよ結婚相手を見つけてここは卒業かい?』

 …などと言います。わたしには当分そのつもりはありません。学校ではいろいろなことがあり気苦労も多くありますが、週末にAさんと過ごしている時間は何もかも忘れることができます。大げさな言い方になってしまいますが『英気を養う』という感じ…お酒で紛らわすよりもずっと素敵…と思っています。


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