【14】元同僚たちとの乱交に耽る団地妻32歳-1
【『ひるがお』昭和XX年10月号「人妻たちの昼下がり」より。吉野由美子(仮名)(三十二歳)】
吉野由美子(仮名)と申します。年齢は三十二歳です。わたしは短大を出て四年ほどとある会社でOLをしていました。職場で上司に隣の課にいたいまの夫を紹介されて結婚し寿退職しました。二人の娘に恵まれ今年それぞれ小学校と幼稚園に入りました。
上の娘が小学校に上がるのを控えて、それまで住んでいた社宅から新築の分譲団地の一室に移りました。社宅は水回りも何もかも古く隣や上のお部屋の物音も響いてきて住み心地はあまりよいものではありませんでしたから、分譲団地の抽選に当たったときは大変喜びました。夫の通勤時間は二倍になってしまいましたがわたしは満足しています。
夏のある日、団地にOL時代に同僚だったAさんとBさんが訪ねてくれました。わたしが退職して八年ほどになりますが今もときどき会っています。交流が続いているのはうれしいことです。
「そこの道路、ようやく舗装したんだね」
「スーパーマーケットも開店して街らしくなってきたね。はいお土産」
お二人はこの団地をもう何度も訪ねてきてくれていて街の景色が変わっていく様子を見ています。
「赤ちゃんだった〇子ちゃんがもう小学生か。早いものだね」
Aさんが壁に掛けてある娘の写真を見ています。
「△子ちゃんも幼稚園に入ったんだものな。吉野も順調に出世競争の先頭を走っているし。良妻賢母のユミコちゃんの内助の功だね」
Bさんが応えます。
「俺たち、せっかくユミコちゃんと同じ二課だったのに、課長のやつ、自分の部下じゃなくて一課の吉野とくっつけるんだものな」
「まあ、いいじゃないか。ユミコちゃんはこうして今でも俺たちに会ってくれるんだからさ」
「吉野は新入社員の頃から仕事一筋だから課長に気に入られてたものな。『お前らももう少し吉野を見ならえよ』なんてよく言われたもんだ」
初めて会ったときはわたしは二十歳を過ぎたばかり。夫もAさんとBさんも皆二十代半ばの若者でしたからその頃が懐かしく思い出されます。
「ユミコちゃんは吉野と結婚してよかったんだよ。こんな新築の団地で暮らせているんだものな。亭主の稼ぎがいいってことだよ」
「まあそれは認めざるを得ないな」
「ユミコちゃんも女の子の中じゃダントツに仕事ができたしね」
「そうそう。打合せの内容なんかあっという間にメモにしてさ」
「中身も正確だし字も綺麗。『それに比べてBは仕事ができないな。吉野のようにとまでは言わないが〇〇クン(わたしの旧姓です)の方がよっぽど使えるぞ』とまで言われてな」
Aさんが課長さんの声色を真似てBさんを冷やかします。
「よく覚えてるな。まあ、オレはドジばかり踏んでたからな」
「ユミコちゃんが会社を辞めるって課長から聞いたときは随分落胆したものだぜ。俺なんかいまだに結婚する気になれないよ」
「そうだよな。俺はクニのおふくろが泣いて頼むから仕方なく身を固めたがね」
「ユミコちゃんと比べたら奥さんがかわいそうだよ」
「でもうれしいよな。ユミコちゃんの方から連絡をくれるなんてさ」
家にいるのはわたしだけ。せっかく分譲団地を手に入れたのも束の間、夫は半年ほど前から仕事のため転勤して家を空けています。夫の転勤が決まったときもAさんとBさんが時間をつくってくれてわたしを慰めてくれました。
『上に行くには転勤を経験しておかないといけないしね』
『そうそう。どうせいつか行かなきゃいけないんだから早いうちに済ませておいた方がいいんだよ』
夫は月に一度くらいは帰ってきますが、来月お盆休みもあるので今月は帰って来ないそうです。
『本社からまだまだ成績を伸ばせる。頑張れって言われているんだ』
そう言って夫は張り切って仕事しているようでした。娘二人も夏休みに入っておととい夫の実家に預けてきたところです。義父も義母も孫がかわいくて仕方ないようで『はやく連れておいで』と矢の催促でした。夏休みのあいだ海で泳いで真っ黒に日焼けして帰ってくることでしょう。
「うれしいね。そろそろユミコちゃん連絡くれないかな…なんて思ってるとちゃんと連絡くれるからね」
「以心伝心ってやつかい」
「俺、ユミコちゃんからの連絡を受けるために部屋に電話を引いてるようなもんだよ」
「頼むぜ。ウチはカミさんが来ちまったしもう電話を掛けてもらう訳にはいかないしな。電話止められないようにちゃんと電話代払っとけよ」
「余計なお世話だよ。その気になればオレだけでユミコちゃんに会いに行くこともできたのに、お前にもちゃんと声をかけてやったんだからありがたく思えよ」
「わかってるよ。だから今日はお前に譲るよ。だが毎回という訳にはいかないぞ」
「なにが『譲る』だよ。先月はお前が先だったじゃないか。まあ、いいや。ありがたくいただくよ。俺、もうさっきから…」