オマケ付きケータイ・バモくん-6
車を走らせること20分。
とあるアパートに着いた。
ここに彼はいる。
ピンポ〜ン。
場違いに温いメロディのチャイムを鳴らした。
「どちら様?」
の太い声が返ってきた。
「シロクジラ運送です。
お届け物で〜す。」
と答えた。
僕の人生最大の大勝負だ!
ガチャっと鍵が開きゴツいお兄さんが出てきた。
例の彼氏に違いない。
明らかに運送業者ではない僕を見て態度一変。
「あぁ?なんだてめえは?」
睨みつけてきた。
「タエちゃんを傷つけるな!」
前置きをスッ飛ばして僕は胸ぐらを掴んだ。
しかし相手が悪かった。
体格のいいこの男に勝てる見込みは全くなく、僕の右頬にグーパンチがめり込んだ。
「タエだと?てめぇはタエの何なんだ?」
3発、4発と拳が僕の顔を襲い掛かった。
痛い!
ケータイが光りだして
「やめろゆうとるやん!」バモくん参戦。
声は続いた。
「わてはあんさんの悪業全てお見通しやで。高下さん。これ以上やると後悔するでぇ!」
「何いってやがるんだコイツ!」
彼の怒りも最高潮だ。
バモくんの特別機能が発動した。
その名も
「催眠着うた〜演歌三郎」
ぅわ〜
ベタすぎるよ。
演歌が流れだした。
僕は耳を塞いだ。
彼は目を閉じてフラフラしだした。
「あんさんはちょいとオイタがすぎましたわ。
これからお仕置きタイムやで。」
と着うたの三郎はコブシを効かせて大音量になった。
「タエちゃんを傷つけるなや!
しっかり謝りいけや!」
と繰り返すバモくん。
「ふぁい。わかりました。」
と彼は家を飛び出した。
タエちゃんの家にむかいだしたようだ。
「これで一件落着やな。」
僕らは家路についた。
「バモくん。おつかれさん。」