特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.3-10
抜ける様な青空。
大きく伸びをすると、太陽の光で目の前が真っ白くなった。
俺達は日々、曖昧に繋がっている。
曖昧でだらしがなく、欲求に忠実で戒めるものなんて何も無い。
禁忌の青い実でさえも、ためらう事無く囓るだろう。
だけど
俺達は常に平行線で
常に相手を束縛せず
この関係を曝してはいけない
そう言うルールのもとで初めて成り立つから
全てのリスクを背負わなくてはいけない。
High_Risk
High_Return
俺達の世界にそんな値打ちが有るかは解らないが
この泥水の様なぬるま湯で安息を得てしまった俺達は、もうこの世界から出る事が出来ない。
愛だとか恋だとか
それよりもっと複雑極まりない
それが俺達の世界
「せーんせッ」
不意に廊下で呼び止められ、大河内は振り返った。
ちょうど職員会議が終わったばかりで、化学準備室に戻る途中だった。
「これ、レポート」
にひひ、と笑いながら今井が折り畳んだ用紙を大河内に渡す。
「ああ、例のか」
銀縁眼鏡の奥で目を細め、口許に笑みを浮かべた。
「ご苦労。……それより、その格好は何なんだ?」
大河内が指差す今井の格好は、上が青いサッカー部のユニホームで、下がジャージのハーフパンツだった。
「企業秘密ッス。確かに渡したからね。俺の分と太刀川の分!」
そう言うと、逃げる様に廊下を去って行った。