果たし状はラブレター?-1
下駄箱をあけると長方形の何かが落ちてきた。
「ま、まさかラブレター?今時そんなもん書く娘がいるなんて…そんなウブな所が好きだー」
思わず叫んでしまった。そのせいでまわりからの視線が痛いが気にしないでおこう。
しかしよく見ると果たし状と書いてある。
「果たし状なんてカモフラージュするってことは恥ずかしがり屋さんなんだなぁ…そんなシャイな所も大好きだー」
さっきよりきつい視線を浴びせられるが気にしないことにした。
ラブレター(果たし状)の指定の場所に行くと女の子が立っていた。腰辺りまで伸びたサラサラな髪がなびいてとても可愛かった。彼女から目が離せない、一目惚れってあるんだ。
「ラブレターをくれたのは君かい?」
妄想大爆発の発言をしていると、
「あなたは強い?」
いきなり彼女はその辺の不良なんかより数段はやい拳を繰りだしてきた。
「君を守れる程度には」
そういって彼女の拳をかわし頭を撫でてやる。
「自己紹介が遅れたね、私は東 皐月。藤本 優也君だよね」
「あぁ、ゆうでいいよ、みんなそう呼ぶから。所でラブレターで呼び出されたのに何で殴りかかられなきゃいけないの?」
「そぅ?じゃあ、あたしのこともさつきでいいよ。ていうか一応果たし状って書いたはずなんだけど…まぁいいや、それよりゆう君の強さを見越してお願いがあるの」
「なんだい、おじさんに話してごらん」
さつきにゆう君と呼ばれ俺は有頂天だった…仕方ないじゃない、だってカワイイ女の子にそんな呼び方されたらテンションあがるって。
「おじいちゃんの道場を守ってほしいの、おとといに道場破りが来てその時はなんとか食い止めたけど2日後にまた来るって、そしたら門下生のみんながこなくなっちゃった。」
哀しげに漏らすさつきの目から雫がこぼれた。並の門下生なんかより数倍つよいであろうさつきでも勝てないのだろうか?
「みんな勝てなかったのか?」
「そうよ。だから、ゆう君にお願いしてるの。守ってくれたら…なんでもゆう君の言うこと聞く」
目をこすり歯を食い縛りこちらを見ている、どれだけ大事なのかが伺える。
「なんでも…たとえば俺と付き合えって言っても?」 さつきは無言で頷いた。「わかった、いいよ。早くつれてってくれ。道場破りが来るのは今日だろ」
さつきの表情が一気に明るくなった。
俺たちが道場に着くとそこには大男が立っていた。
「待ち兼ねたぜ」
言うが早いか男は殴りかかってきた。が、それをかわしすぐ放った右拳がカウンター気味に入った、間髪入れず回し蹴りをかますと男は倒れた。
「…」
あまりの出来事で声も出ないみたいだ。
「言ったろ。君を守れる程度には強いって。あと俺の願いは…」
近くのファミレスで俺はパフェをむさぼっていると、
「ほんとにパフェおごるだけでいいの?」
「だけとはなんだ。パフェは偉大なんだ、とってもおいしいんだ、日本人の主食はパフェにすべきなんだ」
俺のパフェ主食主張に困惑気味のようだ。
「そんなことしたらみんな糖尿病になっちゃうじゃない。パフェをバカにしてるわけじゃないけど借りはもっと大きいのに…それにあんな質問するから私てっきり…」
「…好きになった娘くらい自分の力で…」
消え入りそうな声でつぶやいた。
「え?なに、なんていったの?」
「ナンデモナイ」
「じゃあなんでかたことなのよ」
これから楽しい日々がつづきそうだ。