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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【序章(?)】-1

「帰ろう!ユキ。」


「あ〜、ちょっと用事あるから。
…先、帰ってて。」


「え〜。…あっ!
朝のアレね!?
…ププッ、頑張って。」


「ププッってなんだよ〜。……はぁ、こっちは結構辛いんだぞ…」


「じゃ、先帰ってるね〜♪ば〜ぁ〜い♪」


……俺のグチをあっさりと聞き流して一緒に帰る相手を探そうと女の子に話し掛ける。
そんな様子を恨めしそうに見ながら俺は、校舎裏へと
…いや違うな…
「戦場」へと向かった。


――そう。あれは朝のこと


「あのっ!……その…い、言いたいこと…ある…から……放課後、校舎裏に来て…ほしい…」


廊下で、話したこともない女の子に不意打ちの先制攻撃を見舞われる。
あのっ!意外はほとんど聞こえないような微声。
背の小さい順から並ぶ朝礼では、一番前に陣取る俺よりも小柄の、かわいらしい女の子。
耳を真っ赤にして下を向いている。
「…うん、わかった。」
緊張混じりの声で答えると、彼女は下を向いたまま後ろに振り返り、俺とは別の教室へ駆けて行った。
教室の入り口付近で、サヨナラヒットを打ったルーキーみたいに女の子三人にポンポンやられている。

フラフラの足取りで自分の教室に入る。
一番左後ろが俺の席。
ガタンッと音を立てて席に落ちる。
周りからの視線に気付くには約30秒程かかった。
皆ニヤ付いた顔でこっちを見ている。

いつの間にか、隣に幼稚園からの親友の裕也が立っていた。


「またか〜お前〜。今年これで何人目だ?もう五人目ぐらいじゃないか?」
意地悪い笑みを浮かべ、裕也は続ける。
「で、どうすんだ?付き合うのか?それともまた泣かすのか?あんなにかわいい子を!」

少しザワついていた教室が俺の答えを聞きとるために静寂に包まれる。


「勘弁してくれよ〜。」


わざとらしく大きな声を上げ、


「誰か助けて〜!」


と裏声を発し、天井を仰ぎ万歳すると、教室には笑い声と共に心地よいザワつきが戻った。


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