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ふたり
【幼馴染 恋愛小説】

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ふたり【序章(?)】-3

「俺…すっ、きな人がいるから…君とは、付き合えない。」



あれ?俺、今ちゃんと言えてたか?しかもいつもより優しい口調になってしまった。


「そ、そう…なん…だ……ぐすっ、…すんっ」


うわっ!やっぱり!?やっぱりそうくる!?
――ザ・必敗パターン――女の涙という必殺技を喰らい、俺の心はズタズタ。
なんの抵抗も出来なくなる。
最強の武器を振り撒いたまま去る女の子を無言で見送ることしか出来ない。
そして俺が罪悪感から立ち直るまで一週間。
――――――――――――
だけど、今日は違った。
俺の攻撃が緩かったせいか、なんと彼女は隙を見せた。


「ぐすっ………誰?」


誰?―あっ誰が好きなのってことか!?
い、言えるか。
広まったら…困る。


……そうだ!
ある人物の名前が浮かんだ


「俺が好きなのは、
――そう!」


枯れ葉の舞う透き通った秋空をビッ!と指差し、俺は高らかに宣言した。



「小野妹子!俺が好きな人は小野妹子だ――!!」



最近歴史で習った、誰もが最初は疑問に感じる名前。
ちらっと彼女を見る。


……ポロッ
――涙が溢れる。


しまった。失敗だ。
血の気がサァーっと引く。天を指差したまま俺は固まっていた。


「……ふふっ。ナニそれ〜……」


涙を人差し指でそっと拭いながら、彼女は小さく笑った。


「……ありがとう。…すんっ…私を、傷付けない様に…してくれたんだね。」


彼女は更に続ける。

「東原くん、優しいんだね。それに、いつもと全然イメージ違う。…ああ、なんかいっそう好きになっちゃった。
ねっ友達からなら…いいよね?」

彼女は右手を差し出す。

俺は天に掲げた手を下ろし、握手で応える。


「うん。…今日から友達。えと、亜美ちゃん」


彼女の目にもう涙は無かった。


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