真実の唄-1
赤い糸なんて信じてないけど…自分の直感は信じてる。
この人だ!って思ったらそれが真実。
「ねぇ、お母さんとお父さんはどうやって出会ったの?」
娘がそんなことを聞いてくるほど大きくなったのかと実感する瞬間。
「そうねー…」
目をきらきらさせながら私の隣に座る娘。恋でもしているのだろうか。
優しく微笑みながら、私は語り出した。
〜♪〜♪〜♪
車の中で流れる流行の音楽とエアコンの音。
当時二十一歳。
付き合ってる人がいた。
その人は十二人目の彼氏だった。
当時、大学生だった彼氏の祐一(ユウイチ)がようやく車の免許を取り、ドライブしていたときのことだった。
「あっ!」
祐一が思い出したように声をあげた。
「どうしたの?」
「しまったー!今、サークルで課題実習やってるんだけど、そのことで伝えなきゃならないことあるんだった」
「電話する?」
「直接じゃないと説明しにくいんだ……悪いけど今から大学の方向かっていい?」
申し訳なさそうにこちらを見る祐一にクスっと小さく笑って答えた。
「いいよ、急ぎみたいだしね」
そんなわけで、急きょ祐一の通う大学へ向かった。
サークル仲間の何人かはその日も活動をしていたらしい。
それがほんの一瞬の出会いのきっかけ。
駐車場に車を止めると、車の前を過ぎて行く一人の大学生。
どうやらサークル仲間らしく『涼子、ちょっと待ってて』と言うと、祐一は慌ててドアを開き、車の外へ降りた。