真実の唄-6
早くも自己嫌悪に陥った。こんないきなり…。
すると、彼から驚くべき言葉が飛び出した。
「あぁ、はい。覚えてます。祐一が課題実習のことを伝えに来たときにいた人ですよね?」
「…はい、そうです!」
涙が出そうなくらい嬉しかったのを今でも覚えている。
まさか、彼が車の中にいた私の存在に気づき、覚えていてくれたなんて…。
そして、次の言葉を聞いたとき私は本当に涙が出てきてしまった。
「実は俺もあのとき………車の中にいるあなたをいいなって思ってたんです」
秋風は柔らかく私を包み、空一面に広がる星は私だけのスポットライトの様だった。
「よかったら、今度会いませんか?」
そうして、私と彼は再び出会った。
そして現在に至る。
「すごーい!ドラマみたい!!」
娘は足をばたつかせながら言う。
「いいな〜そんな出会い!お父さんはお母さんの運命の人だったんだね」
可愛らしい笑顔を浮かべながら娘は私に言った。
「さぁ、どうかしら。ただの直感よ」
おかしそうに笑いながら私は答えた。
娘は『羨ましい』だの『運命』だの『ロマンチック』だの散々言葉を並べた。
静かになったかと思ったら、いつの間にかソファーのところで横になっていた。
私はそっと毛布をかけ、壁に飾ってある写真を眺めた。