真実の唄-3
―――二年後。
「別れよう」
「何でだよ?!」
「私、忘れられない人がいるの」
十四人目の彼氏だった。
祐一とは一年前に別れていた。連絡は一切取っていない。
恋愛女の私は相変わらずいろんな人に恋して、付き合ったけど…どうしても続かなかった。
二年前の彼、藤真 大輝という人を忘れられずにいたからだ。
話したことも、声さえもきいたことがない人。
なのにいつも頭の片隅にいる。
一体どんな人だったのだろう…とか。
もう会えるわけもないのに。
「また別れたの?」
仕事場の同僚、荻本(オギモト)が呆れたように言う。
「だって…」
呆れながらも、うつむく私を覗き込むようにして聞いてくる荻本。
「続かない原因は?」
「……忘れられない人がいるの」
「何人目の元彼?」
荻本は茶化すように言ったが、私は首を横に振る。
そして、二年前の彼のことを話した。