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メダイユ国物語
【ファンタジー 官能小説】

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非情な実験-7

 オズベリヒは再びマイクを取り、通話スイッチを入れると、

「大声を出したり、暴れたりしない方が身のためですよ?」

 隣室のファニータに小声で語りかけた。

「彼の腕力なら、お前の細い首など一瞬でへし折ってしまうでしょう。抵抗したりせず、余計な刺激を与えないことです」

 ファニータは震えながら頷いた。

 ドワモ・オーグは周囲に目を配りなら、ゆっくりと匂いを発する元へ近づく。

 そしてベッドのすぐ近くまでやってくると、ファニータの身体に手を触れた。目を固く閉じて身を委ねるファニータ。ドワモ・オーグが顔を近付けた。鼻をヒクつかせながら彼女の身体の匂いを嗅ぐ。その直後、ドワモ・オーグは彼女を押し倒し、その身体を弄った。邪魔者を排除するかのように、身にまとった検査衣を力任せに剥ぎ取る。ファニータの全裸が晒された。

「危険です! 彼女を助けて!」

 隣室で見守っているマレーナがオズベリヒに向かって叫んだ。

「大丈夫です。見てご覧なさい。彼はあの娘を敵とは思っていません」

 マレーナが窓から様子を見ると、ドワモ・オーグはファニータに覆い被さり、その全身の匂いを嗅ぎ、時おり舌を出して彼女の素肌をチロチロと舐めている。確かに襲っているというわけではなさそうだ。

「多少乱暴ですが、彼女を愛撫しているのでしょう。彼らの交尾は我々人間の性行為と酷似しています。雄はまず、雌の性的興奮を高めるため、性感帯を刺激します。雌の身体が充分な興奮状態になってから、男性器……つまりはペニスを雌の膣(ヴァギナ)に挿入するのです」

 淡々と説明するオズベリヒ。マレーナはただ、彼らの行為を見守るしかない。

 ドワモ・オーグは顔をファニータの頭部に覆い被せると、獣臭い息を吹き掛けながら舌で彼女の口を舐め回した。ザラっとした不快な感触が彼女を襲う。

 呼吸のため、ファニータが口唇を僅かに開いた瞬間、ドワモ・オーグはその舌を差し込んできた。人間同士で言うところのディープ・キスである。

「んー! んむっ!」

 堪らずに呻きを上げるファニータ。だがそんな彼女にはお構いなく、ドワモ・オーグは舌をさらに深く侵入させる。人間に比べて遥かに長い彼の舌は、ファニータの口内全てを舐め回し、彼女の舌に絡ませた。そして乳房を探り当てた彼の手は、その膨らみを揉みしだく。

(いや……こんなの、いやだ……)

 不快感に耐えるファニータだったが、身体の奥底がジンジンと痺れるような感触が湧き上がって来た。ケダモノに施される愛撫が、不快さを徐々に快楽へと変えているようだった。

(違うっ! 気持ちよくなんかないっ!)

 ファニータは必死で自分に言い聞かせた。だが、彼女の理性とは裏腹に、彼女の身体はドワモ・オーグから受ける刺激で、性感帯が敏感になっていた。

「ああっ……」

 ドワモ・オーグの口から唾液が溢れ出す。そしてそれは長い舌を通じてファニータの口内へと伝い、生臭くドロリとした体液が、彼女の喉へ流れ込んだ。

「ほう、どうやら彼女のことを気に入ったようですね」

 隣室から観察しているオズベリヒが口を開く。

「彼女を相手に選んだのは正解だったようです。彼女のあの褐色の肌は、ドワモ・オーグの皮膚の色に近い。彼も同族だと思っているのかも知れません」

 彼はマレーナに向かってと言うより、自分自身に言い聞かせているようだった。

 隣の部屋では、ドワモ・オーグがファニータを組み伏せ、愛撫を続けていた。

 彼女の口から顔を離すと、ドワモ・オーグはその長い舌を使い、眼前に横たわる雌の身体を舐め回した。

「うっ……ふあっ……」

 ファニータの口から艶っぽい声が漏れる。彼女は襲い掛かる快感に抗っていた。だが目の前の獣の、ザラザラした舌の感触は彼女がこれまで味わったことのないものだった。

 いっそこのまま、この快楽に身を委ねてしまおう。そうすればどれだけ楽になれるのか――彼女の脳裏に、何度もそんな思いが浮かんだ。それでも、彼女の強靭な精神力が、王女に仕える侍女であるという誇りが、それを許さなかった。

 ドワモ・オーグの愛撫は乳房から腹、へそ、そしてその更に下、髪と同じ赤茶色の茂みに覆われた丘へと降りてきた。彼は一旦顔を上げると、雌の両腿を掴んで割り開いた。

「い、いやあ……」

 ファニータの陰部が露わになった。彼女は手で隠したかったが、抵抗したら目の前の獣に何をされるか分からない。そんな恐怖心から、身動きひとつ取れなかった。

 これまでのドワモ・オーグによる愛撫で、彼女のそこはすでに潤っていた。縦スジから覗く濃いピンク色の陰唇は既に綻(ほころ)んでおり、その奥の肉ヒダからは愛液が滲み出ている。そしてスジの上端部分では、包皮の奥から陰核(クリトリス)が隆起していた。

「ふむ、薬の効果でしょうか。彼女はドワモ・オーグの愛撫には不快を感じていたようですが、身体は性的興奮が高まってきているようです」

 オズベリヒは独り言のように口ずさむ。

「薬? あなたの言った排卵誘発剤ですか?」

 マレーナが訊く。

「ええ、それもありますが、先ほど投与した排卵誘発剤には、少量ですが催淫効果を促す媚薬を調合しました」

「媚薬?」

「はい。彼女にはこの実験で快楽に溺れて欲しいですからね。快感が高まるほど妊娠しやすいと聞きます」

 彼はニヤニヤと薄笑いで答える。どこまで用意周到なのだろう――マレーナは彼から目を逸らし、隣室の様子に目を戻した。


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