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メダイユ国物語
【ファンタジー 官能小説】

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非情な実験-10

 ドワモ・オーグの交尾において、雄は雌の膣にペニスを差し込むだけでは終わらない。先細った雄の性器の先端は雌の更に奥の生殖器官、子宮に差し込まれるように出来ていた。生殖行為を完全なものにするため、雄は子宮の内部で射精し、そこを精液で満たすのである。

「痛いっ! ムリっ! もう入らないっ!」

 ファニータは堪らずに言葉を発する。が、当然獣の雄にそれが通じるはずはなかった。ドワモ・オーグは彼女の身体を力強い腕で固定し、腰を進めた。胎内では子宮口が強引に押し開かれ、ペニスが内部に侵入していた。

「何が、いったい何が起きてるの!?」

 苦しみ藻掻くファニータの様子を不審に思い、マレーナはオズベリヒに訊く。彼は至って冷静な口調で、彼らドワモ・オーグの、生殖行為についての生態を説明した。

「酷い……今すぐ止めさせて! ファニータは人間です! 動物の雄の相手は無理です!」

 マレーナは必死にすがる。だがオズベリヒは冷たく答えるだけだった。

「人間の女の子宮であっても、子を宿して出産する際、子宮口は胎児が通る程度には拡がるのですから、無理なことをしているとは思えません」

「そんな……無茶なこと……」

「いやああああっ!」

 スピーカーからファニータの叫び声が聞こえた。

「見てご覧なさい。そう言ってる間に、彼女の身体は彼の全てを咥え込んだようです」

 マレーナは隣室に目を向ける。ドワモ・オーグは上体を起こしているため、その下に横たわるファニータの身体がよく見えた。彼らの性器が結合されている部分を見ると、オズベリヒの言うように、ファニータの膣はドワモ・オーグの長大なペニスを根本近くまで飲み込んでいた。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、あああっ」

 彼女は全身で大きく息をしていた。相当な激痛を耐えていたように見られた。

 するとドワモ・オーグはあらためて彼女に覆い被さり、腰を前後させ抽送を開始した。

「い、いや……もうやめて……」

 子宮の中でペニスが行き来している。あり得ない感覚がファニータを襲っていた。言葉が理解できない獣の雄は、意に介さず抽送を続ける。

 フン、フン、フン――ドワモ・オーグの息遣いが荒々しくなってきた。彼の中で射精感が高まっていた。

「んっ、んんっ、あっ、ああっ」

 ここまで来てしまっては、もう彼が果てるのを待つしかない。ファニータは彼が絶頂に達するまで必死に耐えた。

「フゴッ! フゴッ! フガアッ」

 そしてついに、その時がやって来た。ドワモ・オーグは咆哮を上げて抽送を止めた。直後、ペニスの先端から白濁した精液が放出された。ファニータは胎奥に、ドクドクと熱い物が広がる初めての感触を味わっていた。ドワモ・オーグの放出する大量の精液は、すぐに彼女の子宮内を満たした。彼は腰を引いて、萎えかけたペニスを雌の膣から引き抜いた。先端からはまだ白い液体を吐き出している。ポッカリと口を開いたままのファニータの膣口からも、おびただしい量の精液が溢れ出てくる。彼女の股間を中心に、周囲に白い水たまりが出来ていた。ドワモ・オーグからようやく開放された彼女は放心し、虚ろな目を天井に向けている。ぐったりと横たわった身体は、全身を使って呼吸しているように、乳房と下腹部が上下していた。

 ドワモ・オーグは精液を全て放出して満足したかに見えたが、彼は再び自分のペニスに手を添えると、床に横たわるファニータの秘部に向けて放尿し始めた。

「いったい何を!」

 ファニータの身体が汚されている様子を隣室で見ていたマレーナは、思わずベンチから立ち上がる。

「落ち着きなさい。あれは彼らにとっては一種の儀式です。この雌は自分の物であるというサインで、マーキングのための行為です」

 オズベリヒは説明を終えると、マイクを取って通話スイッチを入れ、

「実験を終了する。そいつを檻に戻せ」

 と、隣の室内で長銃を手に待機していた兵士に命じた。彼らは檻の脇をすり抜け、奥の扉から出る。彼らと入れ替わるように、扉から白衣姿が二人入って来て、手にした金属製のトレイを檻の背後にある小さな扉を開いて中に置いた。トレイには肉の塊が載せられている。餌を使ってドワモ・オーグを檻の中へ誘導する手筈だ。肉の匂いを嗅ぎつけた彼は、惹きつけられるように檻の中へ入って行った。白衣姿の男のひとりが、すぐさま檻の扉を閉めて錠を掛けた。獣は肉を手に取り、貪るように口に運ぶ。

「くっくっくっ、性欲を満たした後は食欲ですか。いやはや、人間もあの様に本能の赴くままに、素直に生きた方が幸せなのかも知れないですね。運び出せ」

 マレーナに向けて一方的に実験後の印象を語ると、オズベリヒはマイクに向かって続く指示を出した。隣室では白衣姿二人が檻を運び出していた。

 扉が閉まり、室内は床に横たわるファニータだけになった。彼女は未だ放心状態だった。

「ファニータ! これを外して。彼女の所へ行かせて」

 マレーナは手枷の嵌められた両腕を向けてオズベリヒに言う。ところが彼はかぶりを振り、

「いいのですか? 貴女が一部始終を見ていたことを知ったら、彼女はどう思うでしょうね」

「――それは」

 マレーナは言葉が出なかった。

「彼女のことは我々にお任せください。大事な実験の被験者です。彼女の身体はこの施設の医療機器を使い、万全の体制で管理します。粗末に扱うことは絶対にいたしません」

 彼らの目的はファニータにドワモ・オーグの子を産ませることだ。にわかに許せることではないが、今となっては彼らに委ねるしかなかった。それに彼女の最も恥ずべき、男と――いや獣の雄と交わる姿を自分が見ていたことも、絶対に彼女には知られたくない。


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