多勢の視線-6
『イヤラしい動きだなあ……オイ、いま何て思ってるか言ってやろうかあ?「まだシコらないでオジサマ。だってまだ私その気≠ノなってないんだから」……クククッ!』
「い"ぎ…ッ!?あ"ッッ!!イヤあぁッ!!」
スゥ…ッと静かに男が立ち上がると、ゆるりと背後に回って制服に触れてきた。
その手を振り払おうと麗世は身体を捩ったが、その振り幅の狭さではどうにもならず、ジャケットのボタンを外されてYシャツを露わにされてしまった。
『この中≠ナすよお。クククッ……この中にお客様をシコらせる憎らしいオッパイが隠されてるんですぅ』
「ッッッ」
胸元にカメラマンが寄ってくる。
そしてジャケットを脱がせた男はYシャツの腋の生地を乱暴に掴み、グイッと左右に引っ張った。
胸の膨らみもブラジャーのカップの尖端も、透けるように輪郭を浮かび上がらせてしまった。
それはあの動画の中での身体に衣服を密着させた海風とは違う、紛れもなく人為的なもの。
ボディーラインを浮き上がらせるというよりも、幼い胸を弄ぼうという卑劣な欲望の発露である。
「ひッい"ぃ"ッ!?ダメえッ!!
やめ…てぇぇぇッ!!!」
大袈裟な悲鳴の中でYシャツのボタンは外されていき、首元の真紅のリボンを残すよう、第一ボタンだけを外さぬままに麗世の胸は開けられた。
そこには多くの〈れいタン推し〉が夢想していた通りの、控えめなフリルで装飾された小さくて真っ白なブラジャーが現れた。
ブラジャーの前土台が胸板をキュッと締めつけ、カップは緩やかに幼い膨らみを包み込んでいる。
そして荒い呼吸に肋骨が浮き出る薄い胸板は、ダイヤモンドのような汗粒を散りばめてキラキラと輝いていた。
まだ誕生日を迎えていない中学三年生。
14才の瑞々しい身体を我が物に出来る。
川上愛はその肉体の甘味さで、少女の魅力を教えてくれた。
森口涼花は、どんなに小さな身体であっても、あらゆる男の欲望に応えられる素養があると知らせてくれた。
だがいずれもが誰かが姦した後での食味検査≠ナある。
松友麗世という素晴らしい美少女に《初めて》を与えられるのが自分だという興奮と悦びは、熟れた女体が魅力的だった奥村かずさや川上雪絵、そして仇敵と呼べる古芝風花を姦した時よりも遥かに勝る。
「や"ッ!?や"あ"ッ!!や"だあ"ッッ!!!」
両脇腹から滑らせた手……その曲げた人差し指をブラジャーのカップに軽く潜り込ませると、指先には蒸したような熱さが感じられた。
麗世の背中から悲鳴の波動が放たれ、それが自分の胸板に心地好く響く。
このビリビリとした振動が、拒絶する女性との奇妙な一体感を醸し出す……。
「や"…あ"ぁ"ッ!!やめ…ろよクソオヤジッッ……ぎい"ッッッ!!??」
汚い言葉を吐いて強い意思を示した麗世だが、一気に胸からカップを引き剥がされると再び息を詰まらせて絶句した。
そうっと鈴木は身体を傾け、あの小悪魔的な揺らぎを見せる胸を覗いた。
……そこには恥ずかしさと悔しさにプルプルと震える尖った山が、二つ並んでいた。
薄い胸板に隆起した膨らみは、やはり発育の途上故か幅は狭かった。
まるで三角錐のように尖端に向かって尖っており、肌の色素が薄いからか、乳輪はベージュ色に近く、乳首はほんのりと桜色に染まる程度の色彩だった。
「……誰が「クソオヤジ」だって?……クククッ……躾がなってないイケナイ娘だなあッ!』
「ひ…ッ!?ぅ"あ"ッッッ!!」
ワイヤーの入っていないジュニアブラは、鈴木の腕力に抗えずに伸びきって胸から離れた。
谷間など望みようもない未熟な胸は前方に迫り出し、しかし、丸みや肉感に乏しくともバージスラインだけは一人前だ。
……やはり少女の魅力とは、この歪つともとれる身体に纏わりつく《物足りなさ》にあろう。
よく少女の身体を『果実』と表す文体を見る。
完熟した果実は全身から甘い香りを放ち、擬人化してみれば「早く摘み取って」「もう食べて欲しいの」とせがんでいる状態だ。
しかし、まだ未成熟な果実はどうだろう。
香りは殆ど無く、「まだ早いの」「食べるのはやめて」とシクシク泣いているはずだ。
今、麗世は「やめて」と繰り返している。
譲歩など毛の先ほどもない、完全なる拒絶だ。
それは当然だ。
麗世の身体は未成熟な青い果実なのだから、「やめて」と叫ぶのは当たり前の事。
胸も尻も、そして秘部も、まるで風にたなびいてザワザワと騒ぐ葉っぱのように「まだ早いの」「やめて」と何度も繰り返して叫んでいる。
卑劣な手段で慰みものにするのが強姦ならば、全身で拒絶の悲鳴をあげ続ける少女≠ニは、なんと魅力的な《果実》であろう。
麗世の胸も、あと少し丸みを帯びれば〈美乳〉となる。
そう思わせる素地は充分にある。
肉付きの足りない尻も、あと数年で文句なしの〈美尻〉となろう。
その数年後を思い描いた完璧なる《美》の体型は、なにも男共だけのものではない。
麗世本人も、「そうなりたい」と願っているに違いない……。
『物足りない身体』だからこそ喰いつきたくなる。