多勢の視線-5
『14才の《あたシコ女》にオヤジ共が喰らいつくのは無理無えぜ……なあ、オマエがどんな言い訳しようがなあ、オナニーのズリネタをバンバン投稿してる女はあたシコ女≠ナ決まりなんだよぉ……クククッ……「あたしでシコシコして」……ん〜?「れいタン可愛いでしょ?」クックククッ!』
「ッぎぎぎッッ!!」
返信メールはまだまだ届いている。
そのどれもがこの男の主張と同じだ。
……麗世は自分の愚かさに気づいた。
「可愛い」
「憧れます」
そんな薄っぺらい賛辞に絆されて、オシャレして動画を投稿し続けていた。
アイドルグループの誰々より閲覧数が多くなったとはしゃぎ、本物のアイドルのように祭り上げられて鼻高々になっていた……。
「ひッ!?な、なによヤメてッ!!」
前触れもなく男はスルリと背後に回ると、首筋と二の腕の隙間に強引に手を入れて、胸元にかかる長い髪を掬い上げて全て背中へ回した。
美しい顎のラインも、ボールギャグのベルトの締め跡が残る柔らかそうな頬も、カメラの前に見せられた。
「やあぁッッ!?ダメッ!!わ、私のッッ!?」
ポニーテールのように髪を後頭部に束ねられて握られたと感じた直後、男は麗世の生徒手帳を開いて顔の横に並べてきた。
まるで標札のように手帳を扱われ、そして紛れもなく[reiyo.M]の松友麗世だと見せつけられている。
「離してッ!!は、離してえッッ!!……あ"ッぐ!
撮らな…やめてえッ!!!」
『ほらほら、必死に顔を隠そうとしてるのが何よりの証拠ですよお。クククッ……よく確認してくださいね、お客様ぁ。この顔があたシコの松友麗世ですからねえ?オラ、カメラに顔を向けんだよお!』
綺麗な文字で[松友麗世]と書かれたノートまで手渡され、それが顔の横に並べられる。
野次馬のようにカメラマンが迫り、麗世は顔を背けて隠そうとしたが、後頭部の毛根も頭皮も、それが凄まじい握力であると感じていた。
『そうそう。拉致った時にスマホを覗いたんですが、男の写真とかLINEのやり取りとか見つかりませんでしたあ。つまり彼氏が居ない綺麗な身体≠フ……』
「ぅわあぁあッ!?さ、サイテーッ!!サイテーよアナタ達ぃッ!!ほ…ホント何なの?何なのよお!!」
か細い麗世の首では男の腕力には敵わず、それを助太刀するように二の腕が挟んでいる。
眉間に刻まれた皺も、歯軋りを漏らす歪んだ唇も全てが記録された。
動画サイトで見せる憎らしいほどにあざとい¥ホ顔ではなくても、間違いなく松友麗世本人だとお客様も理解するだろう。
ペンで描いたように綺麗で切れ長な瞳。
思わず吸いつきたくなる唇。
撫で回したくなる頬と顎のライン。
間違いなく、全国に散らばる異常者共が推しているれいタン≠セ……。
「も…もう付き合いきれないッ!アナタ達なんてホントに……ぅ"あ"ッ!!??」
髪を離して前へと回り込む男を怒鳴り散らしていた麗世は、いきなり真下を向いたままギンッと目を見開き、口をポカンと開けたまま固まってしまった。
スカートの前部を握った男が一気にそれを捲り上げ、裾の部分を強引にウエストベルトに捩じ込んで止めてしまったからだ。
ざわつくカメラマン共。
しかし、その動きは冷静である。
麗世の仰天して固まって震える痛々しい表情を撮り続ける者と、乱された制服の一部が曝した魅力的な《画》を、ベストアングルを求めて撮る者とに別れた。
やはりそれは経験からくる、見事な連携であった。
『……どうですか、お客様ぁ。見たかったスカートの中はどうですかあ?クッククク!』
「ッ…あ"ぐッ!……と…撮ら…な"あ"ッッ!!??」
今度は後部のスカートを捲り上げ、ウエストベルトに捻り込む。
制服の乱れが加速したその姿は、やはり好奇の眼差しの餌食となる。
水色が混じった白いパンティは清潔感に漲り、ピンク色の小さなリボンのアクセントが素晴らしく映えている。
そらのパンティとは違って布面積は少なめであり、やはりそこは〈観られたい〉欲求の強いれいタン≠ェ選んだ下着である。
実に少女らしい下腹部の丸みを強調し、微妙な秘丘の膨らみをも隠さない。
そしてやや物足りない尻の肉感を表すようにピッタリと張りついた薄布は、足ぐりから伸びる眩し過ぎる太腿をより惹き立てていた。
『ククク!お客様ぁ、まだ《シコる》には早過ぎますよお?さっきのウサギの交尾を見て濡れたかどうか……』
「や"ッッ!!??……ぐぎ…ッ!」
鈴木はカメラの邪魔にならぬよう麗世の右脚の側にしゃがみ、恥辱のあまり身動きすらとれなくなった麗世の股間を見上げるように視姦した。
……全ては鈴木の期待通りだった。
股布は曇りなき純白に輝き、まだ汚れなど知らないと幼稚な花弁が秘香≠漂わせていた。
(……か……カメラ…ッ……あんな…た、たくさん…ッ)
スカートが捲られたというより、剥がされたに等しい。
パンティが丸見えのままで開脚を強いられている今の状況は、死んでも隠したい秘部の《起伏》を見られて撮られるのを好しとしている。
麗世は恥ずかし過ぎて動かせぬ身体に鞭を打ち、上体を捩って股間の位置を少しでもズラそうと足掻き、膝を思いきり内側に曲げて開脚の角度を狭めようと抗った。