代弁者-9
男共だけではなく、弘恵の声色までも変わっていたのに麗世は気づいた。
接触された瞬間に思わず吐き出されたあの声は、明らかに犠牲者である者が出すはずがない声だった。
その直後に発せられた悲鳴はその声≠取り繕う声だと疑いたくなるほどに、擬装の思いから作られたものに聞こえていた。
(く、口を…ふッ塞いで…ッ!だ…誰かッッ)
堅固な土台と化した乳輪に支えられた乳首は、指先で撫でられただけでは倒れぬくらいにしっかりと聳え立っていた。
汗粒が散りばめられた胸板が弾むたびに、弘恵の開けっぱなしの口からは声≠ェ放たれる。
それはまるで痛みすら感じさせない《喘ぎ》だった。
『クククッ!アイツは此処に連れ込まれた時に、「死んじまえ!」ってぶちギレながら
あの男≠ボロクソに蹴りまくったんだぜ?
それが今じゃあ……感じまくりじゃねえか……ん〜?』
(そんなの聞きたくないぃッ!お願いもうやめてよぉッ!)
鼻水に鼻穴を塞がれた弘恵は、その拡げられた大口で荒く呼吸をしていた。
指先で乳首をツンツンと小突かれるとその刺激に同調して呼吸を止め、乳輪を優しくなぞられると息を詰まらせて顰めっ面で堪える。
(ふうちゃんお願いッ…わ…私を…ッ……私をッッッ)
乳輪はどこまでも擽ったく、乳首は哀しいまでに敏感だ。
焦らすように乳房を撫でられるだけで全身の皮膚は痺れ、胸の尖端を弄られると股間はジリジリと熱く燃え盛る。
もはや自分では止められない……。
いくら耐えようとしても、いくら風花の無惨な悲鳴や姿を思い返して憎悪を燃やそうとしても、この《快感》は押し返せない……。
(こ…この人……ど、どうして…?どうしてそんな……ッ)
弘恵の束ねられた脚はビクンビクンと跳ねながら、次第に自ら股間を開き始めていった。
誰もあの吊り革を掴んでいないのに。
誰も弘恵の脚には触れてもいないのに……。
弘恵は自ら進んでほんのりと赤らんだ秘丘を曝し、麗世に向かって肉花をパクンと開いて蜜唇を見せつける。
そして麗世への裏切りの感情と呼べる忌まわしき《悦び》を囃し立てるように、真っ白な尻尾はパタパタと揺れ動いていた。
『イヒヒ!お股を開いておねだり≠オてるのぉ?そうかあ、『身体を預けてね』って言葉を覚えてたんだあ。偉いねえ?』
「はひゅッッ…!
……ッか…はがあ"ぁ"ぁ"ッッ!」
『うんうん!指を挿れられると気持ちイイよねえ?そのイヤラし〜い顔を麗世ちゃんに見せてあげようねえ』
男に指を挿れられた股間を、弘恵は閉じようともしなかった。
むしろますます開き、指技に翻弄される肉花と蜜唇を麗世に見せつけてきた。
淫らに歪む表情を麗世に見せる為、もう一人の男に後ろ抱っこにされた弘恵は、股座から立ち上る淫臭を辺りに撒き散らし、視覚と聴覚と嗅覚を用いて麗世を責めたてた。
(もうイヤだよぉッ!み、見たくないッ!見たくないぃッ!)
玉置そらの凌辱の時、麗世は《卒倒》という形で精神的なダメージから一時的に逃れられた。
それはやはり大切な親友への暴力だったからに他ならない。
だが、いま目の前で繰り広げられる暴力は赤の他人である。
報道記者である友達の古芝風花を追い、芋づる式に拉致された井形弘恵という女性だという事しか知らない。
玉置そらの時とは、あまりにも違い過ぎる。
しかもウサギのコスプレをさせられ、そしてあっという間に彼女≠ヘ濡れた。
悲惨な泣き顔も何かを訴えてくる哀し過ぎる瞳も、彼女の身体の反応を見てしまえば、それは
《偽り》としか感じられなくなっていく。
(なんで私がこんな…ッ……こんなの見なくちゃ…ッッ)
弘恵は両脚をVの字に開き、腰を前後にグイグイと振っている。
それはどう見ても入り込んだ指を引き抜こうとする抵抗ではなく、欲深く快感を貪る発情したケダモノの其れであった。
『さっきキンタマちゃんにやったのと同じ手マンだぞぉ?イヒヒッ!気持ちイイ?あ〜もう我慢出来ないぃ?』
「ッッがはあッ!?あ"ッッはお"…ッッッ」
『スゴいスゴいッ!弘恵お姉ちゃんいっぱい出たよお?麗世ちゃんが見てる前でいっぱい潮吹いちゃったねえ〜。ウヒッ!ヒヒヒッ!』
「〜〜〜〜ッッッ」
弘恵は目を細めて顔を顰め、仰け反りながら身体を硬直させて淫水を撒き散らした。
それは玉置そらの控えめな放水とは比較にならぬ噴水≠ナあり、どう見ても快感の果てに曝け出した醜態であった。